HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 27 Jul 2011 02:08:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:最低賃金改定 働く貧困層の解消急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

最低賃金改定 働く貧困層の解消急げ

 勤労者の生活を下支えする地域別最低賃金について、本年度は全国加重平均で六円引き上げる目安額が決まった。東日本大震災対策など課題は多いが、働く貧困層の解消に全力を挙げてもらいたい。

 今年の中央最低賃金審議会の小委員会審議は難航した。労働側は安心して生活できる最低レベルの賃金を保証すべきだと強く主張。一方、経営側は大震災や電力不足、円高などで企業の支払い能力は乏しいとして、賃上げの見送りを求めた。

 決着した目安額は地域別に時給で一〜十八円引き上げることとし、全国平均では六円となった。前年度は十五円で最終的には十七円もアップし、全国平均の最賃は七百三十円になった。今年は大幅ダウンだが大震災と先行き不透明の状況下ではやむを得まい。

 今後は各都道府県に置かれた地方最低賃金審議会が具体的な引き上げ額を審議し、答申を得て十月以降に実施していく予定だ。

 大震災で壊滅的打撃を受けた岩手、宮城、福島の被災三県の目安額は一円となった。地域企業の再建はまだ十分に進んでいないから今年は引き上げ見送りの可能性もある。政府は復旧・復興に向けてしっかりと支援すべきだ。

 日本の最低賃金は正社員からパート・アルバイト、派遣など非正規雇用の人々まで原則として全勤労者が適用対象である。いわば「賃金の安全網」だ。

 政府は新成長戦略と政労使による雇用戦略対話で、最賃について二〇二〇年までのできるだけ早い時期に全国最低八百円を確保し、景気回復に配慮しつつ全国平均千円を目指すとした。この目標を放棄してはならない。

 生活保護の支給水準との逆転現象の解消も重要だ。現状では東京都や神奈川県、北海道など九都道府県の最賃は生活保護を下回っている。今回の引き上げで東京都などが解消する見込みだが引き続き是正に取り組むべきだ。

 日本の勤労者の賃金は低い。国税庁の調べでは年収二百万円以下の給与所得者は約千百万人と全体の四分の一を占める。「働く貧困層」の解消は経済・社会の発展の大きなカギを握る。時給八百円が実現した場合でも年収は百五十万〜百六十万円である。

 企業経営者はもっと人材への投資を進めるべきだ。生産性向上のカギは新技術・新製品開発のほか、従業員の士気向上が不可欠である。賃金をコストではなく成長への投資と位置付けてほしい。

 

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