HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 31017 Content-Type: text/html ETag: "4d0d24-5e6f-ed66840" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 27 Jul 2011 03:21:07 GMT Date: Wed, 27 Jul 2011 03:21:02 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):社説
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 社説

社説

Astandなら過去の朝日新聞社説が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2011年7月27日(水)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

復興財源―所得税、法人税を軸に

東日本大震災の復興事業の輪郭が見えてきた。今後10年間の総事業費を23兆円程度と見込み、最初の5年間の「集中復興期間」に19兆円を投じる。今年度の1次、2次補正予算では[記事全文]

児童虐待防止―市町村も役割を果たせ

早朝の公園で行われるラジオ体操は普段、お年寄りの姿が目立つ。でも夏休み中は、たくさんの子どもの元気な姿で、雰囲気が一変する。親だけでなく地域社会にとっても、子どもたちは[記事全文]

復興財源―所得税、法人税を軸に

 東日本大震災の復興事業の輪郭が見えてきた。今後10年間の総事業費を23兆円程度と見込み、最初の5年間の「集中復興期間」に19兆円を投じる。

 今年度の1次、2次補正予算では、歳出見直しや前年度の剰余金で6兆円を賄った。さらに政府が持つ資産の売却などで3兆円を捻出するが、残り10兆円程度は国債を発行する。

 震災前から多額の国債を発行してきた日本に対し、格付け機関など市場の視線は厳しい。6月に成立した復興基本法でも、「復興債」として一般の国債と別に管理し、返済の道筋を示すとされた。本格的な復興策を盛り込む3次補正予算では、国債の償還財源をきちんと決めておかなければならない。

 では、どの税を、どれぐらい、いつから増税するか。

 先に政府・与党が決めた「社会保障と税の一体改革」は、消費税率を2010年代半ばまでに10%へ引き上げつつ、社会保障への目的税にすることを打ち出した。すべての人がモノやサービスを買うたびに負担し、税収も安定している点が、国民全体で支え合う社会保障制度の趣旨にあうとの考えだ。

 この消費税の特徴は、そのまま復興財源にもあてはまりそうだ。ただ、社会保障に使うと決めたばかりなのに国民が混乱しないか、被災地の住民も負担することになる点に問題はないか、課題も残る。

 消費税はひとまず脇に置き、所得税と法人税を軸に検討してはどうか。被災した人や企業を対象から除きやすいし、所得税を納めていない低所得者や赤字企業は負担を免れる。

 この二つの税についても、震災前からの課題を整理しておく必要がある。

 今年度から実施する予定だった税制改革案は、与野党対立で中ぶらりんのままだが、具体案が示されている。所得税は一部の控除を縮小して課税を強化する。法人税では時代遅れの特別措置を縮小・廃止しつつ、税率自体は引き下げる。

 国の財政難を考えると、所得税の増税はやむをえまい。一方、厳しい国際競争にさらされている企業の負担は軽くし、国内での雇用を守ってもらう。

 その上で、復興財源のためにそれぞれ臨時増税分を上乗せする。こうした二段構えで検討を進めることだ。

 被災地の一刻も早い復興へ、財源はしっかり確保すべきだ。同時に、景気への悪影響を避けるため増税の幅は抑えたい。歳出見直しなどでさらに余地がないか、政府に検討を求めたい。

検索フォーム

児童虐待防止―市町村も役割を果たせ

 早朝の公園で行われるラジオ体操は普段、お年寄りの姿が目立つ。でも夏休み中は、たくさんの子どもの元気な姿で、雰囲気が一変する。

 親だけでなく地域社会にとっても、子どもたちは大切な存在だ。だが、みんなが幸せに暮らせているわけではない。

 2010年度に、全国の児童相談所(児相)が対応した児童虐待の件数が5万5152件になった。また、09年度には49人が児童虐待で亡くなった。

 昨夏、大阪で幼い姉弟が育児放棄により命を落とした。衝撃的な事件が、人々に積極的な通報を促して過去最高の件数増につながったようだ。

 虐待をなくしていくには、どうしたらよいだろうか。

 児相は、都道府県と指定市が設け、全国に206カ所ある。

 通報があった子どもがどれほど危険な状態に置かれているかの評価は難しく、責任の重い仕事だ。専門家である児童福祉司は2600人余。10年前に比べて倍増したが虐待件数は3倍増だ。他の先進国と比べて1人あたりの担当件数が5倍との調査もあり、負担は増大している。

 そこで期待されているのが、市町村がより大きな役割を果たすことだ。児童福祉法の改正により05年度から、市町村も虐待の通報先となり、相談に応じることが仕事となった。

 親から子を引き離すような難しい事例はこれまで通り児相が担うが、軽中度のものは市町村も対応する。だが「虐待は専門家のいる児相に取り次いでおけばよい」という意識が、市町村の担当者の間で抜けきらぬ、との指摘がある。

 改善の余地がある。住民の命を守るべき市町村は自らの責任で子どもの安全を守るため、人材配置などを工夫して欲しい。

 政府が検討を進める「子ども・子育て新システム」が実現すれば市町村の権限はさらに大きくなり、責任も重くなる。それは取り組み次第で、自治体間の格差が広がる可能性があることを意味する。

 虐待の発見や予防には、孤立する親たちのもとへ求められなくても出向く「おせっかい型」の支援が有効とされる。

 たとえば、支援が必要な家庭を訪ねて、育児や家事を助けたり、教えたりする「養育支援訪問事業」がある。だが、まだ4割の市町村が実施していない。

 積極的な取り組みを市町村に促そう。同時に、育児に不安を持つ親同士が気軽に交流できる場を作るときには、地域の住民も参加し、子どもへの思いをともにして見守りたい。

検索フォーム

PR情報