HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48891 Content-Type: text/html ETag: "add9e-166d-3d3a8640" Expires: Tue, 26 Jul 2011 02:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 26 Jul 2011 02:21:41 GMT Connection: close 捜査資料漏えい 警察への信頼揺るがす不祥事 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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捜査資料漏えい 警察への信頼揺るがす不祥事(7月26日付・読売社説)

 警察の捜査に対する信頼を裏切る行為と言わざるを得ない。

 捜査対象となっていた美容外科側に捜査資料を漏えいしたとして、警視庁捜査1課の現職警部が地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで警視庁に逮捕された。

 警部の紹介で美容外科に再就職したとされる警視庁OB2人も、漏えいを働きかけた疑いで逮捕された。警部は2人から飲食の接待を受けた疑いも持たれている。

 3人とも容疑を否認しており、動機や経緯には不明な点も多い。警視庁は徹底捜査で、全容の解明を図らなければならない。

 流出したのは、都内の美容外科で脂肪吸引手術を受けた女性が死亡し、執刀医が業務上過失致死罪に問われた事件の捜査資料だ。警部は流出が発覚した今年3月まで事件の捜査を担当していた。

 資料が美容外科側に渡ったことで捜査の手の内を知られ、事情聴取などへの対策を講じる機会を与えてしまった可能性がある。

 資料には司法解剖結果などの情報が含まれていた。それが遺族側との示談交渉に利用されたのではないかと警視庁は見ている。

 結果的に執刀医が逮捕されたため、警視庁は「捜査への影響はなかった」と説明しているが、納得できる人は少ないだろう。捜査過程を入念に検証し、漏えいの影響の有無を確認すべきである。

 今回の漏えい事件は、警察官の民間への再就職の在り方についても課題を投げかけている。

 元警察官を雇う企業や団体は多い。暴力団や総会屋からの要求をはねつけ、悪質なクレームにも対処する役割が期待されている。長年の警察活動で培った経験を伝えることで、企業の法令順守の意識を高める効果もあろう。

 だが、再就職先が捜査対象になった場合でも、“顔”を利かせて捜査情報を入手するようなことがあってはならない。

 警視庁は逮捕されたOBが美容外科に再就職していたことを知らなかった。退職者らに再就職先を届け出させるなど、一定の情報把握に努め、不透明な癒着を防ぐ方策を検討する必要がある。

 警察の不祥事は後を絶たず、昨年の懲戒処分者数は前年比6割増の385人にのぼった。警視庁公安部の国際テロ捜査資料がネット上に流出した事件では、内部犯行の疑いが強まりながら、いまだに解明の糸口すら見えていない。

 組織をあげて綱紀粛正と再発防止に取り組まないと、信頼を失うことを肝に銘じるべきである。

2011年7月26日01時23分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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