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2011年7月26日(火)付

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賠償機構法案―法的整理の準備を急げ

福島第一原発事故をめぐる東京電力への賠償支援機構法案について、与野党の修正協議がまとまった。兆円単位が見込まれる賠償額は東電の支払い能力を超える。被災者が日々の生活を取[記事全文]

南スーダン―国造りを手助けしよう

アフリカで54番目の国、南スーダンが国連に加盟し、国造りを本格化させている。住民投票でスーダンからの分離・独立を決めた。半世紀に及ぶ2度の内戦で、250万人以上が犠牲に[記事全文]

賠償機構法案―法的整理の準備を急げ

 福島第一原発事故をめぐる東京電力への賠償支援機構法案について、与野党の修正協議がまとまった。

 兆円単位が見込まれる賠償額は東電の支払い能力を超える。被災者が日々の生活を取り戻すために、賠償の枠組みを早く決める必要がある。

 法案は、国が賠償額の半分を仮払いする内容の野党提出法案とともに、8月初めにも成立する見通しだ。すでに震災から4カ月以上が過ぎている。作業を急がなければならない。

 大きな変化は、国にも賠償責任があることを法律に明記することだ。政府案では国の関与の仕方が「支援」どまりだった。

 修正により、東電が賠償できない状況になったとしても、残りの額は国が支払うことが明確になった。被災者が受け取れなくなる懸念が小さくなった。

 また、「東電を債務超過にしない」と定めた閣議決定の効力をなくす手続きをとることでも合意した。

 今年3月末時点の純資産が1.6兆円にとどまる財務内容を考えれば、東電の経営がすでに債務超過状態にあるのは誰もが認めるところだ。

 であれば、他の企業と同様に破綻(はたん)処理をすべきだ――。これまでの社説で、私たちはそう主張してきた。そのほうが市場をゆがめず、国民負担も小さくできる。最後は税金で賠償の面倒を見るにしても、まずは株主や、貸手である金融機関の責任を明確にし、資産や債権を整理したうえでの話である。

 今回の与野党による合意は、東電を法的整理する道を閉ざしていた部分を取り除くことになり、大いに評価したい。

 もっとも、今後の東電の形をどうするかの議論は先送りされた。「賠償総額のめどがたった時点で検討」とされたが、すでに東電は上場企業としての実質を失っている。

 本来の姿である法的整理の可能性が生じたことで、新たな電力債の発行や、銀行や生保からのこれまでのような融資は難しくなった。今後、賠償額の見通しや東電の財務内容が報じられるたびに、市場が厳しい反応を示すと予想される。

 法的整理が先延ばしになるほど東電の評価が下がり、公的な負担が増す危険がある。すぐにも準備を始めるべきだ。首都圏の電力供給を一手に担う独占企業でもある。新たな立法など、詰めるべき課題は少なくない。

 経済の原則にそった手続きで電力体制を再構築していく。それが、日本経済への世界の信頼を得る一歩にもなる。

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南スーダン―国造りを手助けしよう

 アフリカで54番目の国、南スーダンが国連に加盟し、国造りを本格化させている。

 住民投票でスーダンからの分離・独立を決めた。半世紀に及ぶ2度の内戦で、250万人以上が犠牲になった苦難の歴史を思えば、平和裏に生まれた新国家の成功を心から願わずにいられない。

 しかし、キリスト教徒の黒人主体の南スーダンは、イスラム教徒のアラブ人主体の中央政府から見捨てられてきた。

 人口は800万いるが、識字率は27%程度で、生活基盤も、教育も、医療も、極めて貧弱な地域だ。

 自立と社会の安定化のためには、世界の支援が要る。和平プロセスを後押ししてきた国連には、中長期にわたって支え続ける重い責任がある。

 日本も国際社会の一員として積極的にかかわるべきだ。

 国連は8千人規模の平和維持活動(PKO)部隊の派遣を決めている。潘基文(パン・ギムン)事務総長は道路や空港づくりで、自衛隊の能力に期待を寄せている。

 日本はこれまで、スーダンでのPKO参加を打診されながら、司令部要員2名を出しただけで、部隊の派遣は見送ってきた。安全面での不安などから防衛省が難色を示し、歴代の首相も決断を先送りしてきた。

 いま、現地の治安情勢はどうなっているのか。それを見極めることを大前提に、今度は部隊派遣も検討すべきだろう。いったん活動に加われば、長期化は避けられそうにないという実情も踏まえ、しっかりとした対応を考えるときだ。

 多くの日本人にとって、アフリカは遠い世界かもしれない。しかし、豊富な天然資源と10億人を擁する大陸は近年、著しい成長を遂げている。将来性を秘めた地域で、平和構築のモデルともいえる事業に貢献をすることは、日本にも有益だ。

 もちろん、求められているのは自衛隊ばかりではない。

 教育や医療、食糧自給率を高めるための農業支援、行政官や法律家など国を担う人材の育成といった文民支援は幅広い。日本が得意とする分野であり、実力を発揮できる。

 南北のスーダン間では、石油収入の分配や国境線の画定など未解決の問題が残っている。南北の対立を再燃させないよう、南だけでなく、北を含む地域全体への目配りをしつつ、新しい国造りを応援する。

 そんな国際貢献ができれば、大震災で支援と励ましを寄せてくれた国際社会に対する、何よりの恩返しになるに違いない。

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