HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 23 Jul 2011 20:07:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:警視庁警部逮捕 正義と誇りを取り戻せ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

警視庁警部逮捕 正義と誇りを取り戻せ

2011年7月23日

 警視庁捜査一課といえば日本の刑事警察の代表格だ。その現職警部が捜査情報の横流しの疑いで逮捕された。警察全体の汚点である。正義と信頼の回復には自ら真相を白日の下に曝(さら)すほかない。

 この捜査情報漏洩(ろうえい)事件は、品川美容外科(東京)をめぐる医療過誤の捜査が発端だった。地方公務員法違反の疑いで逮捕された三人は容疑を否認しているが、その癒着の構図には驚かされる。

 捜査一課の警部白鳥陽一容疑者(58)は捜査対象の病院側に情報を漏らし、それを唆したのは病院側に再就職していたかつての同僚の元警部らだったとされる。

 強力な捜査権限を握る現職警部と元同僚がもたれ合い、厳正でなければならない警察捜査をゆがめたとすれば言語道断だ。警視庁が自浄能力を発揮しなくては全国の警察の信用が失墜するだろう。

 二〇〇九年に品川美容外科で脂肪吸引手術をした女性が亡くなり、医療過誤が疑われた。白鳥容疑者はその業務上過失致死事件の捜査の現場責任者だった。

 元警部らはその捜査の最中に病院側に再就職していた。しかも、責任ある立場にあった白鳥容疑者が病院側に斡旋(あっせん)したというから看過できない問題だ。

 民間の会社や団体に警察OBが再就職することはままある。暴力団に対抗したり、不祥事を防いだりする“知恵袋”として需要は根強いとされる。

 だが、捜査する側とされる側が警察人脈でつながっていては捜査の公正は期待できない。社会的な信頼も大きく損なわれる。OBの再就職をどうチェックするか厳しく問い直さなければならない。

 殺人や強盗などの凶悪犯罪を扱う警視庁捜査一課の能力は全国の警察をリードする。それを支えるのは、刑事としての揺るぎのない正義感と誇りのはずだ。

 その中で、白鳥容疑者が手掛けてきたのは、複雑で多様な現代社会を象徴する業務上過失致死傷事件だった。〇二年の東京慈恵会医大青戸病院の腹腔(ふくくう)鏡手術事故や、〇七年に都内で起きた温泉施設爆発事故などの最前線に白鳥容疑者の姿があった。

 とりわけ医療過誤捜査には精通していた。長年にわたり培った高度な知識と技術は関係業界でも一目置かれ、人脈も豊富だった。そのベテランのエリート刑事がなぜ道を踏み外したのか。警視庁刑事の養成の仕組みそのものを洗い直す必要がある。

 

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