HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 21 Jul 2011 22:09:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:NPOと税制 寄付文化を広げよう:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

NPOと税制 寄付文化を広げよう

2011年7月21日

 寄付すれば税金が減る優遇税制と、寄付対象の認定NPO法人を大幅に増やす改正法が成立した。震災復興では行政の手が届きにくい分野が無限にある。「新しい公共」として、どんどん育てたい。

 六月最後の日曜日、津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町で第三回「福興市」が開かれた。町や各種団体、全国網のボランティアやNPOらが復興に向けた活力を発信しようと企画した。全国各地から特産品が持ち込まれ、雨にもかかわらず、旅行会社が募った関東、関西からのツアー客を含め約一万人が訪れた。

 被災地の自治体にも、復興に絡めNPOなどの「新しい公共」を支援する動きが出てきた。福興市のほか、車を失った被災者の足を確保する福祉タクシー、被災児童の遊び場づくり−など検討が始まっている。かゆいところに手が届く活動は山ほどあるだろう。まさに、NPOの出番だ。

 後押しする改正NPO法が超党派の議員立法で成立した(来年四月施行)。全国に四万超あるNPOのうち、寄付が課税所得の控除対象となる認定法人は二百十余、0・5%しかない。「事業収入のうち寄付が五分の一」の基準を「三千円以上の寄付が百人」に緩和した。認定権限を国税庁から都道府県に移した。現場に即した迅速な対応が期待できる。

 併せて寄付税制の改正法も成立した。欧米型の税額控除を新たに導入し、寄付した約半額が所得・住民税から減額される。税金を取られるより寄付しようと、動機は高まるだろう。全額控除も視野に拡充を目指したい。

 「寄付白書2010」によると、日本の個人寄付は五千四百五十五億円で、米国の十九兆円とは二けたも違う。寄付文化が定着すれば、これまで通り「古い公共」に納税して行政サービスを受けるか、事業内容を見た上で「新しい公共」を支援するか、を選べるようになる。お金の使い道を国民自らが決めるのだから、行政任せからの脱皮につながる。ひいては、この国の在り方を大きく変える。

 一つ課題がある。優遇税制の悪用を防ぐことだ。認定が簡素化された分、各法人は寄付金の使途など正確な会計を公開し、社会の信頼を得てほしい。

 阪神大震災が起きた一九九五年は「ボランティア元年」と言われ、三年後にNPO法を生んだ。東日本大震災では多額の寄付が集まっており、名実ともに「NPO元年」となるよう種をまきたい。

 

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