HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 47595 Content-Type: text/html ETag: "f1bbf-1252-d6b14800" Expires: Wed, 20 Jul 2011 23:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 20 Jul 2011 23:21:13 GMT Connection: close 7月21日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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7月21日付 編集手帳

 その弔辞は22年前、東京・三鷹の斎場で読まれている。〈優作。俺は今までお前が死ぬとこを何度も()てきた。そのたびにお前は生き返ってきたじゃないか。役者なら生き返ってみろ。生き返ってこい!〉◆集英社刊『不滅の弔辞』から引いた。39歳で急逝した松田優作さんを悼み、原田芳雄さんが霊前で語った言葉である。口数少なくぶっきらぼうな外面の下に、ひどく熱いものが流れている。一語一語が、原田さんの演じてきた「男」そのものだろう◆映画『竜馬暗殺』『ツィゴイネルワイゼン』などで無類の存在感を示した原田さんが71歳で亡くなった◆2年前、『黄金花』で80歳の植物学者・牧を演じた。本紙の取材に語っている。「死が背中に張り付いてきたのを感じることで、生もものすごく主張してくる。牧老人はそういう季節にいる」と。つい10日前、最新作の完成披露に限界まで痩せきった身を車いすに乗せて登場した原田さん自身、“生の主張”を最後の最後まで貫いた俳優であったろう。演じるように生きたのか。生きるように演じたのか◆男が死んだ――しみじみと、そう思わせる人である。

2011年7月21日01時36分  読売新聞)

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