HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49046 Content-Type: text/html ETag: "70f2a-16b6-41398440" Expires: Wed, 20 Jul 2011 01:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 20 Jul 2011 01:21:38 GMT Connection: close 原発収束計画 現状と見通しを正確に示せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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原発収束計画 現状と見通しを正確に示せ(7月20日付・読売社説)

 福島第一原子力発電所の事故収束へ、政府の取り組みは甘い、と言わざるを得ない。

 政府と東京電力が、事故収束計画の初期段階であるステップ1が終了したことを踏まえて、今後の事故収束計画の改訂版を公表した。

 新たな計画は、4、6月に示した従来計画と同様、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられる」状態を来年1月までに達成する、としている。

 だが、放射性物質の放出をどう食い止めるのか。肝心の具体策は依然、実効性に乏しい。これでは国民が最も懸念している問題に取り組む姿勢が問われよう。

 壊れた原子炉からは今も、放射性物質が漏れ出ている。東電の推計では、その量は毎時約10億ベクレルで原発周辺での被曝(ひばく)量は年間1・7ミリ・シーベルト増える。人の被曝量の基準値、年間1ミリ・シーベルトを上回る。

 新計画では、原子炉の温度が下がれば放出量も減る、との見通しを示すにとどまった。漏出を食い止めるため原子炉に覆いを設置することが決まっているのは1号機だけだ。他は、がれき処理を優先して覆いの設置は先送りした。

 ステップ1の終了を受けて、菅首相や細野原発相は、福島県内で自主的な避難を求めてきた「緊急時避難準備区域」を一部解除する意向を表明している。

 しかし、放射性物質の漏出を食い止められないままでは、避難住民にいくら帰宅を促しても、とても納得してもらえまい。

 来年1月までに原子炉を100度以下に安定して冷却する「冷温停止」状態を達成する、という目標も従来計画通りだ。だが、放射線が強いため、炉心溶融で壊れた原子炉に作業員は近づけない。

 安定した冷温停止状態にあることをどう確認するのか。遠隔操作の機器を開発するなど、その手立てを明示すべきだ。

 原子炉は、危機的な状況はすでに脱している。とはいえ、19日の衆院予算委員会で菅首相が「収束の方向が見えてきた」と答弁したような確かな根拠を、新計画の内容から読み取ることは難しい。

 政府はこれまで、炉心溶融の実態を控えめに報告するなど、国民に不信感を抱かれるような対応をしてきた。収束作業では、現状と見通しを正確に示すべきだ。

 事故を起こした炉を最終的にどう解体し廃棄するのか。新計画に言及はないが、福島県の復旧、復興の将来像を描くうえでも、政府は、責任を持って事故収束への長期展望を示す必要がある。

2011年7月20日01時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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