HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 20 Jul 2011 00:07:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:カツオがおいしい季節になった。初夏の初ガツオと秋の戻りガツ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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2011年7月20日

 カツオがおいしい季節になった。初夏の初ガツオと秋の戻りガツオのどちらも甲乙つけ難いが、燃やしたわらであぶったたたきは格別だ▼本場の高知で、農薬を使わずに育てた稲わらであぶったたたきを食べたことがある。瞬時に燃え上がる火力と独特の香り。温かいまま食べると、カツオの旨味(うまみ)が凝縮されたような味がした▼「直土(ひたつち)に藁(わら)解き敷きて」と万葉集にあるように、古来、稲わらは生活の場でさまざまに利用されてきた。笠(かさ)や蓑(みの)、わらじなどの日用品や、屋根や燃料…。数えれば切りがない。日本の原風景ともいえるその稲わらが放射性物質に汚染されてしまった▼政府はきのう、福島県産のすべての肉牛の出荷停止を県に指示した。汚染された稲わらを食べた可能性のある牛は、福島など三県で六百頭を超えた。出荷された牛の個体識別番号が、新聞に掲載される異常事態である▼一部の肉から、暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されている。すぐに健康には影響ないとはいえもはや「風評被害」ではない。「福島の牛はもう売れない」という畜産農家の声を聞くのが悲しい▼福島第一原発から百五十キロ離れた宮城県大崎市の業者が周辺から集めた稲わらも汚染されていた。放射性物質が降ったのは稲わらだけでない。豚肉は、野菜は、魚は、給食は…。原発は、私たちの食の安全をどこまで脅かすのか。

 

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