HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 18 Jul 2011 20:09:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<かん声をあげて 海へ走り しぶきのなかに消える 子どもた…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年7月18日

 <かん声をあげて 海へ走り しぶきのなかに消える 子どもたち わたしは 砂に寝て 海を想(おも)っている>。川崎洋さんの代表的な詩「海」の冒頭だ▼詩は続く。<ひとつづきの塩水よ われらが夏の始まりは いずれの国の 冬のまっさかりか そして わたしの喜びは 誰の悲しみ?>。真っ青な空と海、真夏の太陽に焦がされる白い砂浜が浮かぶ▼きょうは「海の日」。海水浴シーズン真っ盛りのはずなのに、今年は泳ぐ気にはなれないという人もいるだろう。芋を洗うようなビーチの光景は、東日本では見られないかもしれない▼茨城、千葉県は海水浴場の水質検査を実施。放射性物質は検出されなかったとして、「安全宣言」を出したが、夏休み期間の宿泊予約が激減した旅館もある。宿泊料を大幅に値下げしても埋まらないという▼本紙の連載「レベル7」は、高濃度の放射能汚染水の大量流出が判明した四月二日以降を検証、綱渡りの処理作業の現実を伝えている。過去最悪とされる英国・セラフィールド核施設からの一年間の総流出量に、わずか六日間で迫る大量の放射性物質が海に垂れ流しになった▼川崎さんが書くように、地球は海でつながっている。汚染の影響は食物連鎖を通じてどんな形で表れるのか。「豊かな海を返してください」。いつか、はるか海の果ての人に言われた時、返す言葉はない。

 

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