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天声人語

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2011年7月19日(火)付

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 「最後まであきらめない」。祝日の早朝、そんなメッセージがフランクフルトから届いた。サッカーの女子ワールドカップ決勝。なでしこジャパンは米国に2度追いつき、PK戦を制した。今の日本にすれば、あらゆる政治の言葉より意味がある世界一だ▼押しに押され、ゴール枠の「好守備」に再三救われた。しかし残り3分、頼れる沢主将がすべてを元に戻した。宮間選手のコーナーキックに飛び込み、示し合わせたような右足一発。居合抜きを思わせる美技だった▼この同点弾で、なでしこの至宝は大会の得点女王と最優秀選手に。前言通り「人生最高の試合」にしてみせた。仲間の粘りを勝利につなげた守護神、海堀選手の神業にもしびれた▼米国の女子サッカーは国技に近い存在らしい。女の子の3割が習い事でたしなみ、人気選手はCMにも出る。「女子は男女同権の国ほど強い」(W杯米国大会プログラム)。そうした誇りと期待を、代表の面々は担う▼かたや日本は、代表チームができて30年。ルールは男女同一に、競技人口は10倍以上になったが、主力選手の多くが働きながら練習している。凱旋(がいせん)の旅もエコノミークラスと聞いた。世界一の次は実力にふさわしい環境だろう▼早起きを3回しただけの素人にも魅力は分かる。俺が俺がのプレー、汚い反則や抗議がなく、ボール回しを楽しめた。なでしこは国を励まし、世界を驚かせ、この団体球技の面白さを教えてくれた。雑草の根っこを持つ大輪たちに感謝したい。

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