HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 16 Jul 2011 21:09:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:更新料判決 借り手に丁寧な説明を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

更新料判決 借り手に丁寧な説明を

2011年7月16日

 部屋を借りると、更新料を払う契約条項が含まれる場合がある。この是非を争う裁判で、最高裁は条項を「有効」と判断した。勝訴した貸主側も契約時には、借り手により丁寧な説明が必要だ。

 賃貸契約の更新料については、法律上の規定はない。つまり不動産業界の長年の慣習だ。ただし首都圏や関西圏などでは慣習化しているものの、北海道や四国などではほとんど徴収されておらず、地域差がある。

 金額も全国的な相場では一カ月分とみられるが、京都では多くが二カ月分だ。

 そのため京都を中心に、「更新料の契約条項は消費者契約法に照らして無効だ」と返還を求める訴訟がいくつも起こされた。二〇〇一年に施行された同法には、消費者の利益を一方的に害するものは無効との定めがあるためだ。

 地裁、高裁レベルでも判断は、ばらばらだった。「無効」とする判決のケースは、「更新料の目的や性質が明確でない」などが理由とされた。「有効」のケースは「賃借権の対価に当たる」などの理由だった。

 今回、最高裁は「更新料が賃料の額や更新期間などに照らし、高額過ぎるなどの事情がない限り消費者契約法に反しない」とした。

 更新料の性質についても「賃料の補充や契約継続の対価などの趣旨を含む複合的な性質を持つと解するのが相当」と指摘した。

 少なくとも全国で約百万戸の賃貸住宅で更新料が設定されているとみられる。不動産の現場では、徴収をめぐって混乱があっただけに、今回の新判断で法的な支えができたといえる。

 ただし、礼金や敷金などとの違いが必ずしも法的に明確になったわけではない。地域によっては、入居時に保証金を設定して、退去時に一定額を差し引く「敷引き」の慣行もある。

 「複合的な性質」との説明だけで、果たして借り手は納得できるだろうか。

 住宅難だった時代からの商習慣には、不透明さが伴う。どんな目的の金なのか、もっと納得のいく理由が求められる。

 貸主側の事情もある。家賃収入で暮らす高齢者も多く、値下げ競争にさらされている。人口減時代には、賃料の下落に拍車がかかることも予測される。バリアフリー化や耐震化など、借り手のニーズに応えていく必要もあろう。「不当な利益」と言われぬよう、使途の説明は欠かせない。

 

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