HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49236 Content-Type: text/html ETag: "a356f-163b-b97325c0" Expires: Thu, 14 Jul 2011 03:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 14 Jul 2011 03:21:37 GMT Connection: close 脱原発宣言 看板だけ掲げるのは無責任だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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脱原発宣言 看板だけ掲げるのは無責任だ(7月14日付・読売社説)

 深刻な電力不足が予想される中で、脱原子力発電の“看板”だけを掲げるのは無責任だ。

 菅首相は13日の記者会見で、「原発に依存しない社会を目指すべきだ。計画的、段階的に依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と述べた。

 日本のエネルギー政策を大転換する方針を示したものだが、原発をどのように減らしていくのか、肝心の具体策は示さなかった。

 原子力発電を補う代替エネルギーの確保策が、不透明なままだったことも問題である。

 首相は、太陽光や風力などの自然エネルギーを「ポスト原発」の有力候補と考えているようだ。

 自然エネルギーの普及は促進すべきだが、現時点では総電力の1%にとどまり、発電量は天候などで変動する。コストも高い。

 量と価格の両面で難題を抱えており、近い将来、原発に代わる基幹電力の役割を担えるほど見通しは甘くない。

 火力発電で急場をしのげても、燃料費がかさんで電力料金が上がれば、産業の競争力低下を招く。工場の海外移転による空洞化も加速して、日本経済は窮地に立たされかねない。

 安全確保を徹底しつつ、原発利用を続けることが、経済の衰退を防ぐためには欠かせない。

 首相はまた、当面の電力不足について、節電などで「この夏と冬に必要な電力供給は可能だ」との見通しを述べたが、その根拠についての言及はなかった。

 企業の自家発電など「埋蔵電力」も活用できると見ているようだが、どの程度の供給余力があるのか、手探りの状態にある。

 代替電力の展望もないまま原発からの脱却ばかりを強調するのは、あまりにも非現実的だ。

 原発のストレステスト(耐性検査)を巡る閣内不一致によって、九州電力玄海原発など、定期検査で停止している原発の再稼働に見通しが立たなくなっている。

 首相が、ストレステストの判断が妥当なら「再稼働を認めることは十分にある」と述べたのは、当然のことである。

 ただし、脱原発を掲げる政府が運転再開を求めても、地元自治体は戸惑うだろう。

 首相には、福島第一原発の事故に伴う国民の不安に乗じ、脱原発を唱えることで、政権延命を図る思惑もあったのではないか。場当たり的言動が、多くの混乱を引き起こしている。首相は、そのことを自覚すべきだ。

2011年7月14日01時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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