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Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
テレビに横行するトリックは身も蓋(ふた)もない。近例を挙げる。繁盛するペットビジネスの客は店の人、ある飲料でダイエットに成功した女性はそれを売る会社の経営者で、15億円のホテルを買うはずのセレブはその宣伝を手がける会社に勤めていた▼九州電力玄海原発の再稼働をめぐる混乱で、佐賀県知事と玄海町長の役どころは「国の迷走を嘆く地元首長」である。ごもっともだが、ご両人が「店の人」や「宣伝担当」だったら興ざめ極まりない▼知事は九電マンの父君を持ち、同社も支援し当選、九電幹部の個人献金を受けてきた。玄海町長も親族の建設会社が、九電から50億円を超す工事を受注してきた仲という▼あらら九電ファミリーと知れば、再稼働に前のめりだったのに合点がいく。住民の安全より自らの選挙や商売を案じているとは思いたくないが、板挟みへの同情はおのずと色あせよう▼なるほど、経産相の安全宣言が尚早なら、それをストレステスト(耐性評価)で覆す首相も間が悪い。地元にすれば、担任は合格点をくれたのに、頑固な校長に追試を命じられた思いか。だが、首長が九電と一体ならば怒りの迫力も知れる▼運転再開を論じる番組への賛成意見は、大量の「九電発」で底上げされた。根深い「やらせ構造」に首長も無縁ではあるまい。それに切り込むべきが、支持率15%の「へたれ政権」とは情けないが、ことは安全に関わるから無関心ではいられない。国民の胃にも障る、とんだストレス試験である。