HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49142 Content-Type: text/html ETag: "15c4b9-1660-d7180b40" Expires: Wed, 13 Jul 2011 01:22:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 13 Jul 2011 01:22:08 GMT Connection: close 牛の放射能汚染 検査の徹底で風評被害を防げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


現在位置は
です

本文です

牛の放射能汚染 検査の徹底で風評被害を防げ(7月13日付・読売社説)

 食に対する消費者の不安をこれ以上、拡大させてはならない。

 福島県南相馬市の農家が出荷した11頭の肉用牛から、国の基準を超える放射性セシウムが検出された。出荷時には発見できず、東京都内の食肉処理場のサンプル調査で判明した。

 これ以前に、同じ農家から出荷された6頭は加工され、11都道府県で流通していた。一部は消費されたと見られる。

 検出された放射性セシウムは、その肉を毎日、長期にわたって食べ続けない限り、健康に影響するレベルではない、と専門家は指摘している。過剰に心配する必要はないだろう。

 だが、基準を上回る放射性物質を含んだ食肉が、消費者に届いていたことは問題だ。出荷前の検査体制を見直すべきである。

 この農家は、福島第一原子力発電所から20〜30キロ・メートルの「緊急時避難準備区域」にあり、原発事故の直後は牛の出荷が制限されていた。4月下旬からは、直ちに避難する必要はない区域となったため、出荷を再開していた。

 農林水産省は「屋外にあった飼料を家畜に与えないように」と通知していたが、この農家は屋外の稲わらを牛に与えていた。稲わらからは高濃度の放射性セシウムが検出されている。

 福島県は、外部被曝(ひばく)については、すべての牛の体表面の放射線を検査し、異常なしと確認している。だが、放射性物質を体に取り込んでしまう内部被曝に関しては、飼料の保管状況などを農家から聞き取るだけだった。

 問題の牛を出荷した農家は、聞き取り調査に対して、正直に答えなかったという。

 原発の周辺地域は流通が長期間マヒした。この農家も新たな飼料を調達できず、やむなく屋外の稲わらを牛に与えたという事情があるようだ。農水省の指導も徹底していなかった可能性がある。

 今のところ、問題のある牛肉はこの農家から出荷されたものに限られているが、他の肉用牛の飼育状況についても、詳細に調べ直すことが急務だ。

 福島県は、緊急時避難準備区域と計画的避難区域から出荷される肉用牛を全頭検査する方針だ。風評被害が、牛肉全体に拡大する事態を食い止めるためにも、必要な措置と言えるだろう。

 県外の出荷先で解体される分の検査は、その自治体の協力が不可欠だ。政府も財政的、人的支援を怠ってはなるまい。

2011年7月13日01時31分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です