HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 12 Jul 2011 21:07:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:シャトル後 日本の独自性発揮を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

シャトル後 日本の独自性発揮を

2011年7月12日

 米国は、三十年間世界の有人宇宙開発をリードしてきたスペースシャトルを引退させたあと、火星などへの有人探査を目指す。わが国もシャトルへの日本人搭乗などで得た経験と知識を将来に生かせ。

 シャトルの飛行は一九八一年四月以来、今回が百三十五回目だ。ロケットのように打ち上げられ、グライダーのように着陸することで機体を再利用可能にし、打ち上げコストの大幅削減を目指した。

 だが、八六年と二〇〇三年の二度の事故で十四人の飛行士が亡くなり、安全対策に力を入れたことなどから打ち上げ費用は膨れ上がり、コスト削減は当初の期待ほどはできなかった。

 シャトルは軍事目的を除けば、現代天文学を発展させたハッブル宇宙望遠鏡を宇宙に運んだほか、国際宇宙ステーション(ISS)の建設などに大きく寄与した。

 わが国は九二年以来、シャトル内で材料、生命科学実験などを行って成果を上げたほか、ISS計画にも参加し、〇九年には独自の実験棟「きぼう」を完成させた。

 これによって宇宙で骨がもろくなるのを防ぐ医学実験など複雑な実験も行えるようになった。

 実験やISSの運用のために、これまで七人の日本人飛行士がシャトルに搭乗した。シャトル以前のわが国の宇宙開発はロケットや衛星開発など無人の宇宙探査が中心だったが、シャトルやISSの利用で初めて日本人による有人活動が可能になった意義は大きい。

 わが国の宇宙政策で問われるのはシャトル引退後の青写真だ。

 今後、地上とISSとの宇宙飛行士の往復にはロシアの宇宙船「ソユーズ」が使われる。

 ISSは二〇年代半ばまで運用されるが、それまでわが国は今後も毎年四百億円相当分をロシアなどに払わなければならない。これを含めるとISS参加に伴う総費用は一兆円を超える。それだけに、これまでの実験成果や有人飛行で得た経験を次の計画に生かすことを考えておかねばならない。

 米国はシャトル以後の月や火星の有人探査でも国際協力を望んでいる。わが国が参加する場合、他国と互角の技術を確立しておく必要がある。有人宇宙船へ転用可能な無人補給機を開発したのはその先駆けといえる。ロボットによる遠隔操作技術、宇宙線の長期間の暴露に耐える優れた材料の開発などにも力を入れたい。

 将来を見据え、わが国がどのような分野で独自性を発揮するかを真剣に議論する時期が来ている。

 

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