HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 09 Jul 2011 21:10:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:トヨタの増産 日本の復活見せる力に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

トヨタの増産 日本の復活見せる力に

2011年7月9日

 トヨタ自動車が、二〇一一年度の生産計画で前年度実績からの上積みを打ち出した。東日本大震災の影響で生産が大幅に落ち込んでいたトップ企業の巻き返しは、日本経済復活の試金石ともなる。

 夏の電力供給に不安がある中、トヨタをはじめ自動車各社は木・金曜日に休んで土・日曜日に働く「土日操業」を始めた。節電に協力しながら、生産の遅れを取り戻す考えだ。

 震災後、自動車各社は部品不足に陥って、工場の操業停止や減産に追い込まれた。トヨタの国内生産は、三月に前年同月比62・7%減、四月は78・4%減と大きく落ち込み、先行きが見通せず、五月の決算発表では一二年三月期の業績予想をついに示せなかった。

 震災と原発事故が日本経済に与えた打撃の深刻さについて、海外の目は厳しい。顕著に表れたのが、米格付け会社による日本国債の格付けの引き下げ方向への見直しだった。主要企業も格下げ方向となり、六月末には、トヨタも一段階下げられた。収益力回復に時間がかかるとみられた。

 逆風下、あらためて発表した一二年三月期業績予想でトヨタは震災による減益分を三千六百億円、本業のもうけを示す営業利益は前期比35・9%減の三千億円と、三年ぶりの減益を見込んだ。半面、国内生産台数は三百三万台とする方針を示した。トヨタが目標に掲げる国内三百万台維持を達成するとともに前年度実績を二万六千台上回る数字だ。七月生産を正常化し、その後さらに増産する。

 輸出産業に不利な円高や高い法人税率などの「六重苦」に直面しながらも、国内生産を重視するのは、雇用を守ることが大きな理由だ。経済合理性に従えば、生産の海外シフトを強めるのが妥当かもしれないが、企業は無論、社会的な存在でもある。今後、電気自動車などの分野で、日本が持つ高い技術力を生かした開発と生産を国内で実現させ、新しい時代を切り開くこともぜひ考えてほしい。

 日産やホンダなども立ち直りへ向かっている。震災の影響が比較的少なかったスズキは、東海地震に備えた工場新配置を発表した。未来志向である。

 「ものづくり」の早期の立ち直りや増産は日本の底力を示し、国全体を元気づけることになる。節電で生産条件が制約される中でも着実に歩みを進め、日本経済の先行きに明かりがともるのか、海外も注目している。

 

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