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2011年7月10日(日)付

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社会保障改革―民主党はもっと熱意を

税と社会保障の一体改革で、政府・与党は先月末、「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」と決めた。増税の時期に幅を持たせ、かつ「経済状況の好転」を条件にしたのは、民主党の調査会の[記事全文]

シャトル引退―次の宇宙に成果つなぐ

まばゆいばかりの閃光(せんこう)とともに巨体がゆっくりと持ち上がったかと思うと、瞬く間にフロリダの空を駆け上っていく。この光景も見納めだ。米国のス[記事全文]

社会保障改革―民主党はもっと熱意を

 税と社会保障の一体改革で、政府・与党は先月末、「2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」と決めた。増税の時期に幅を持たせ、かつ「経済状況の好転」を条件にしたのは、民主党の調査会の意向が色濃く反映されたからだ。

 増税をできるだけ先送りしたいという「熱意」こそ目立ったが、社会保障改革についての議論はまだ十分とはいえない。

 政府部内では今後、医療や介護、年金、子育て支援の制度設計をめぐって検討が進み、審議会など有識者や関係者による議論の場も設けられるだろう。

 民主党内に分科会を設けるなどして、議論を重ねて欲しい。これまでの負担増や給付削減の論議を避けがちだった姿勢では、とても前進できない。

 難しい論点はいくつもある。

 たとえば、病院での定額負担の導入である。受診の度に、現在の窓口負担(1〜3割)に少額を上乗せして払う。それを財源に、病気が重い患者の負担を軽減するのが狙いだ。

 確かに、高額の医療費で生活が苦しい人たちへの支援は強化したい。だが、その費用をなぜ患者から集めるのか。日本医師会は「公費と保険料で」と反対している。説得できるか。

 また、2002年にサラリーマンの窓口負担を2割から3割に引き上げると決めた際、これ以上、負担を求めないと法律で約束している。矛盾しないか。

 年金も、課題は多い。

 「最低保障機能の強化」として、年金を含む総所得の低い人の年金を加算。財源対策で、高い人の年金を減らすという。

 しかし、低所得でも資産がある人はどうするのか。加算額は定額なのか、一定の割合にするのか、という大枠の考え方さえあいまいなままだ。

 そもそも社会保険としての年金は、負担と給付がおおむね連動するのが原則である。負担に関係なく、高所得者の年金を削り、低所得者に回すことは、約束違反であり、「正直者がばかを見る」ことにならないか。

 生活保護との整合性も考える必要がある。高所得者に対しては、年金を削るより課税を強化する方が約束違反にならない、との考え方もある。

 民主党の金看板である「税を財源とした最低保障年金」は今回も棚上げされた。本当に実現可能なのか、徹底的に検討しておくことが与野党協議への準備として不可欠だ。

 税と社会保障で、民主党の調査会は政府案を承認する機能を持ちつつある。論議を深めることは与党としての責務である。

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シャトル引退―次の宇宙に成果つなぐ

 まばゆいばかりの閃光(せんこう)とともに巨体がゆっくりと持ち上がったかと思うと、瞬く間にフロリダの空を駆け上っていく。

 この光景も見納めだ。

 米国のスペースシャトルは、きのう打ち上げられたアトランティスで1981年の初飛行以来30年の歴史に幕を下ろす。

 シャトルは初の再使用型宇宙船として、毎週のように宇宙を往復して費用を格段に下げるのがねらいだった。2回の事故がおき、安全性に疑問符がついた。次々に必要になった技術的改修や、経済的な制約から往復は年数回にとどまり、もくろみは外れた。

 米国にとっては軍事目的の飛行もたくさんあった。一方、産業への応用で期待された無重量下での新合金や新薬の開発という成果はあまりなかった。

 だが、長い活躍を通じて16カ国の355人を軌道へ運んだ。宇宙活動を米ソの独占から世界に広げた意義はとても大きい。

 日本からは7人が延べ12回飛行した。身近な先輩が見せてくれた無重量の不思議に夢をふくらませた子どもは多いだろう。

 シャトル引退で、世界の宇宙開発は新たな時代を迎える。

 米国は、財政難から後継機の開発を断念した。国際宇宙ステーション(ISS)との往復は民間に託す。その実用化には数年かかるとみられる。

 ISSとの間を飛行士が往復する手段は当面、ロシアのソユーズ宇宙船だけになる。

 補給物資や実験機材の輸送も当面は日本、欧州、ロシアが担う。これからの有人宇宙活動は国際協力なしに進まぬことを、はっきり示している。

 日本は、シャトルでの実験に参加して宇宙での活動の幅を広げた。ISSでは最大の実験棟「きぼう」を建設し、大きい荷物の輸送を担当する輸送機「こうのとり」も開発した。ものづくりで、日本の技術力が発揮された。シャトル時代に学んだ技術や国際協力の経験を、さらに次につなげたい。

 ISSは今のところ、2020年まで運用される予定だ。日本が学び、作り上げた技術を戦略的に活用したい。アジア諸国と連携するのもいい。存分に活用してこそ、年間400億円を投じる意味が出てくる。

 宇宙へ。次は何をめざすか。オバマ大統領は昨年、小惑星や火星をめざす計画を発表した。月面基地を造って、そこから宇宙へ飛び出していこうという構想もある。

 具体化はこれからだが、シャトルで学んだ力は人類を前に進めるに違いない。

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