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7月8日付 編集手帳

 吉野弘さんの詩、『黒い(かばん)』の一節を。〈私は、ひどく嫌いなんだ/自分の持物を自分の身体の一部と感じない人が――/人込みの中、持物を他人にぶつけて平気な人が…〉◆一国の政治は大きな荷物である。背負う人が前触れもなしに回れ右をすれば、周囲が迷惑する。「安全性が確認された原発は稼働させる」方針を、菅首相が一夜にして反古(ほご)にした。一転、安全確保の新基準を満たさない場合には稼働させないという◆気の毒なのは、突然の方向転換で荷物の角に頭をぶつけた人たちである。原発を抱える自治体は朝令暮改に困惑している。上司の気まぐれに業を煮やしてか、海江田万里経済産業相は辞意をもらした◆政権の延命には「脱原発」を争点にした衆院解散をちらつかせ、批判勢力を牽制(けんせい)するに限る。世間受けのいい“脱原発の闘士”という仮面をかぶっておけば、野党は解散をいっそう怖がるだろう、シメシメ…と、気まぐれの裏側にゲスの勘ぐりをしてみる。首相の「卑」はどうやら小欄にも伝染したようである◆国政の荷が身に余るのなら、下ろせばいい。その人にはすげ(がさ)金剛杖(こんごうじょう)が似合う。

2011年7月8日01時40分  読売新聞)

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