HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 48892 Content-Type: text/html ETag: "ae6f5-163d-203b3b40" Expires: Thu, 07 Jul 2011 02:21:37 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 07 Jul 2011 02:21:37 GMT Connection: close 原発再テスト 運転再開へ安全確保を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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原発再テスト 運転再開へ安全確保を急げ(7月7日付・読売社説)

 政府がいったん安全に「お墨付き」を出した原子力発電所を、改めて検査することになった。

 菅首相は6日の衆院予算委員会で、国内の原発について、地震や津波による過酷な事故にどこまで耐えられるかを調べる「ストレステスト(耐性検査)」を行う考えを示した。

 定期検査で停止した原発の運転再開に関する、新たな基準やルールを作成するとも述べた。

 原子力安全・保安院による従来の検査だけでは、運転再開に地元の自治体や住民の理解を得られにくいと判断したという。

 原発の安全に万全を期すことは重要だ。だが、首相の原発政策を巡る言動は、あまりに場当たり的で、原発の停止による深刻な電力不足に対する配慮も足りない。

 政府は、テストの具体的な手法やスケジュールを早急に詰めて実施に移し、原発の安全再確認を図るべきだ。

 このテストは、従来の安全基準を超える地震など、厳しい条件にさらされた場合の影響を模擬計算する。電源やポンプ、配管など設備の弱点を洗い出し、安全性の強化に役立てるとしている。

 福島第一原発の事故を受け、欧州では6月からストレステストを開始している。国際原子力機関(IAEA)も、加盟各国に導入を求める方針だ。テストは、原発の信頼性の補強材料となろう。

 懸念されるのは、九州電力玄海原発の運転再開が大幅に遅れかねないことだ。

 海江田経済産業相は6月中旬、国内の原発の安全対策が適切だとする「安全宣言」を出した。玄海原発の現地も訪れ、安全性に「国が責任を持つ」と確約した。佐賀県の古川康知事も再開に一定の理解を示していた。

 安全性に合格点をつけた政府が突然、“追試”を課すと言い出したことに、知事と地元町長が強い不信感を表明したのは当然だ。

 築かれつつあった地元との信頼関係は、大きく傷ついた。

 他の原発に広がりかけていた再稼働の機運に水を差し、電力不足が全国的に長期化することも懸念される。

 この日の国会審議では、菅首相と原子力安全委員会の班目春樹委員長がともに、経産相の「安全宣言」の内容を事前に知らなかった事実も判明した。政府内の意思疎通は極めてずさんである。

 原子力政策の司令塔が一体どこにあるのかも不明確だ。政府はしっかり連携し、原発の安全確保を急がなければならない。

2011年7月7日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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