HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 04 Jul 2011 22:10:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:党90周年胡演説 「調和社会」に道示せず:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

党90周年胡演説 「調和社会」に道示せず

2011年7月4日

 創立九十年を迎えた中国共産党が格差や不公平を克服し「和諧(調和)社会」を、どう実現するのか。一日に胡錦濤総書記が行った記念演説から、その道筋が明確には浮かび上がってこなかった。

 十年前の七月一日に、当時の江沢民総書記が行った創立八十周年の演説は内外から注目された。中国では改革・開放以来、私営企業が雄々しく成長していた。

 江氏は従来のように、労働者・農民の党として「資本家」を排除していれば「党は素寒貧になってしまう」と危機感を募らせた。

 演説で「ハイテク企業創業者、外資企業管理者、私営企業家などの新社会階層も社会主義に貢献している」と結党以来、排除してきた階層に入党の門戸を開いた。これは国民政党を目指す動きとして、海外からも歓迎された。

 しかし、その後十年の変化は期待を裏切った。経営者や富裕層の入党が公認されたことで、私営企業家の入党より、国有企業を支配してきた党幹部が企業を自ら買収し私物化する動きが進んだ。

 大型国有企業は基幹産業の独占企業と化し、経営者の党幹部は巨額の報酬を得るようになった。しかも、彼らはそれぞれの産業を牛耳る立場を利用し、金融、経済政策さえ左右するようになった。

 党指導部も、二〇〇〇年代半ばには、基幹産業に、こうした「特殊利益集団」が出現したことを認めた。金融引き締めや所得再分配に抵抗する彼らを「公平正義の実現を妨げる路上の虎で、和諧社会の大敵」(国営新華社)として闘いを呼びかけたこともある。

 しかし、党九十年の胡演説では、幹部特権に触れることなく「各級指導幹部は自身の権力が人民に付与されたことを肝に銘じ、人民の利益のためだけ行使せよ」と自覚を促すにとどまった。

 江演説のように社会の変化を受け止め、新方針を示すことはなく「社会保障充実と民生の改善」「(投資主導の)経済発展の転換」など、従来の方針を繰り返した印象が強い。

 胡総書記は来年の党十八回大会の引退を控え、指導力が弱まっているのか。また、次期総書記に内定している習近平国家副主席は革命元老の息子で「太子党」と呼ばれ、多くの国有大企業を牛耳っている太子党とも関係が近く、幹部特権には切り込みにくいのかもしれない。あまりに新味のない胡演説は、中国社会の今後にも、いささか不安を抱かせる。

 

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