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テレビ相手につぶやく晩酌も悪くはないが、話し相手がいるに越したことはない。会食の席が心地よく盛り上がるのは4〜6人だろうか。この人数だと、話題が切れることも、二つに割れることも少ない▼半世紀の昔、NHK「きょうの料理」の最初のおかずは材料が6人分だった。ほどなく4人になり、昨今は2人前が多い。小紙の料理メモなども同様だ。それだけ小人数の家庭が増えた▼昨秋の国勢調査の抽出速報によると、家族構成では一人暮らしが31%に達し、とうとう首位になった。典型だった「夫婦と子ども」は29%、「夫婦のみ」は20%だ。独居の高齢者や未婚者が増えた結果、世帯数は5千万を超え、家族の人数は平均2.46人と最少を更新した。「2人前」には道理がある▼65歳以上の人口比は23%で世界一、15歳未満の割合は13%で主要国の最低だ。人類未体験の少子高齢化に伴い、社会保障の破綻(はたん)、老老介護、孤独死と、不安の種は尽きない▼片や、未婚が増える背景には厳しい懐事情がある。政府の「子ども・子育て白書」によれば、20〜39歳の未婚者のうち男性の83%、女性は90%が結婚を望みながら、経済的な不安からためらう人が多い。男性には「年収300万円の壁」があった▼一人暮らしの気楽は、加齢とともに心細さにすり替わる。震災に教わるまでもなく、近所での支え合いに救われることもあろう。独居1600万人の時代、頼りは血縁より地縁かもしれない。たまにはお隣と囲む食卓もいい。