HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 02 Jul 2011 22:09:15 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:電力制限令 信頼できる節電情報を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

電力制限令 信頼できる節電情報を

2011年7月2日

 東京電力、東北電力の大口需要者に電力使用制限令が出された。節電は家庭の協力も欠かせない。関西電力のように節電要請が「原発再稼働が狙い」と疑われるようでは真夏の電力が危うくなる。

 電力使用制限令は電力の使用量が供給能力を上回って大停電を起こさぬよう、工場などの大口需要者に前年比15%の節電を義務づけたものだ。東京都心で三五度を超える猛暑日となった先月二十九日、東電管内のピーク需要は東日本大震災後最高の四千五百七十万キロワットを記録した。

 猛暑はこれからが本番なので、単純比較はできないものの、昨夏のピーク、約六千万キロワットを大きく下回った。大口を除く家庭や商店などに15%節電の強制力はないが、節電への取り組みが広く浸透している実態をうかがわせた。

 自動車業界は九月まで土、日曜を操業日とし、木、金曜に休業する生産体制に切り替えた。鉄道各社は電力使用のピークとなる平日の午後に間引き運転を行う。

 大震災、津波、さらに東電福島第一原発の事故で生じた電力不足は、関東、東北だけでなく全国に広がっている。だれしもが等しく節電に努めねばならないときだ。

 それだけに、電力の安定供給を担う側の電力会社の対応には首をかしげざるを得ない。関西の自治体や経済界などから反発を招いた関電はその代表例というべきだ。

 説明を尽くさず、唐突に15%の節電を求めたため、橋下徹大阪府知事から電源の五割を原発に頼り切る関電の体制をつかれ、定期検査を終えた原発を「再稼働させるための脅しだ」とかみつかれた。

 信頼を失う不誠実な振る舞いは、国民の節電意欲をそぎ、企業の海外進出も加速させてしまう。厳に慎まねばならない。むしろ電力業界が招いた電力不足だけに、日本経済の新たな出発点に転じさせるくらいの気概を示すべきだ。

 電力不足は短期的に企業活動を制約するが、長期的には技術革新の呼び水として経済成長を促す潜在力を秘める。日本は二度の石油危機という窮状をはね返し、省エネ技術を深化させて低燃費の小型車などを大量に世界市場へ送り込んだ。

 その歴史を教訓に、導入機運が高まってきたLED照明や太陽光など自然エネルギー技術をさらに磨きあげ、世界に打って出る。

 経済の強い国に、エネルギー消費は小国に。そんな国のかたちこそ、温暖化防止が叫ばれる二十一世紀の国際社会にふさわしい。

 

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