HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 01 Jul 2011 21:09:44 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:南シナ海 多国協議で緊張緩和を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

南シナ海 多国協議で緊張緩和を

2011年7月1日

 南シナ海の領有権をめぐり、中国と東南アジア諸国の対立が激しくなっている。中国は、話し合いによる平和的な解決をうたった南シナ海行動宣言を守り、挑発的な行動を繰り返すべきではない。

 南シナ海紛争をめぐり、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は二〇〇二年に行動宣言に署名した。宣言を法的拘束力のある行動規範に格上げする努力をすることでは合意している。今月はインドネシアでASEAN地域フォーラム(ARF)の閣僚会議が開かれる予定であり、日米はASEANと協力し、中国が行動規範に合意できる話し合いの環境作りに努力してほしい。

 今回の紛争の発端は、五月下旬と六月上旬に、中国の監視船がベトナムの国営石油会社の探査船の調査用ケーブルを切断したことなどだ。スプラトリー(南沙)諸島では、フィリピンが領有権を主張する岩礁に、中国側が鉄柱やブイを設置した。

 中国は「危機はベトナムとフィリピンが行動宣言に違反し、現状を打破して中国領海内で石油資源開発を企てたことによる」(新華社発行の国際先駆導報)と批判するが、時系列を追えば、今回は中国側に責任がある。

 ベトナムは、自国の排他的経済水域(EEZ)の事件だとして抗議。中国外務省は「行動宣言を着実なものにし、南シナ海の平和と安定に関係国が努力するよう望む」と強調している。口先だけでなく、紛争を招くような一方的な実力行使を繰り返さぬよう、中国に自制を求めたい。

 ベトナムでは、事件後、四週連続で反中デモが起こった。政府が事実上認めた官製デモの可能性がある。中国では中央テレビが南シナ海での軍事演習の模様を放映した。共産党独裁体制の中越両国だけに、主権をアピールする動きを国内であおるのは危険だ。政府の国威発揚の思惑を超えて、歯止めが利かなくなる恐れもある。

 ベトナムは実弾射撃演習を強行し、フィリピンは米海軍との合同軍事演習を始めた。だが、報復の連鎖で南シナ海を紛争の海にしてはならない。

 この海域は、日米にとっても通商上重要な航路だ。米上院は、中国の威嚇行為を「武力行使」として非難する決議案を可決した。中国は領有権紛争を「二国間の問題」と主張するが、日米とASEANは多国間の連携を強め、緊張緩和に向けた中国との対話を進めてほしい。

 

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