HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 02 Jul 2011 01:07:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:二十世紀を代表する米国の作家、「パパ」こと、E・ヘミングウ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年7月2日

 二十世紀を代表する米国の作家、「パパ」こと、E・ヘミングウェイは、新聞記者だったことがある▼欧州特派員だった一九二二年にはムソリーニの会見を取材。独裁者が何かを夢中で読んでいるので、こっそり背後に回ってのぞいたら<それは仏英辞典で上と下が逆さまだった>という記事も書いている▼それを紹介する今村楯夫著『ヘミングウェイの言葉』も言う通り、本当にそんなことができたかは怪しい。ただ、記者の経歴は文豪の看板である簡潔で淡々とした「ハードボイルド」文体の素地になったともいわれる▼<氷山の動きが持つ威厳は、それが水面に現れている八分の一によるものだ>(『午後の死』)とは、その省略の美学を象徴する言葉。やはり「十取材して、一書け」という記者の世界の教えにも通じる気がする▼残念ながら全然身についていないが、駆け出し時分には先輩から「ヘミングウェイの文章を手本に」と言われたこともある。そんなわけで勝手に少し身近に思う文豪だ。その人が逝ったのは、ちょうど五十年前の七月二日▼オキ・シロー著『ヘミングウェイの酒』が、文豪の発明した“ハイボール”を紹介している。ウイスキーと水をグラスに注ぎ、冷凍庫に入れておくと三、四時間で水だけが凍る。それを別のグラスに移して飲むのだそうだ。節目の忌日にパパを偲(しの)んで一杯も悪くない。

 

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