HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38827 Content-Type: text/html ETag: "92b62-1671-50a20580" Expires: Thu, 30 Jun 2011 23:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 30 Jun 2011 23:21:41 GMT Connection: close 中国共産党90年 責任大国への道のりは遠い : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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中国共産党90年 責任大国への道のりは遠い(7月1日付・読売社説)

 中国共産党が1日、創設90年を迎えた。

 世界2位の経済大国になった中国に国際社会が求めるのは大国としての責任を果たすことだ。

 それにはまず、自己の主張を一方的に押し通し、近隣諸国を威圧して摩擦を繰り返す姿勢を改めるべきだ。

 初の空母建造が伝えられるなど増強著しい軍は、一段と発言力を強めている。領有権や海洋権益が絡むケースで、中国政府が強硬な姿勢を取る背景には、軍の影響力があると指摘されている。

 党が軍を指揮する仕組みの軽視ではないか。懸念は拭えない。

 党90年に合わせて営業開始した北京―上海間の高速列車は、日本の東北新幹線「はやて」の車両に技術改良を加えたものだ。

 中国側は独自開発した技術だと強調するが、中国鉄道省と日本側企業との間で第三国に技術移転しない約束があったという。にもかかわらず、米国など海外5か国・地域で特許申請中とは驚きだ。

 日本側も中国が知的財産権を尊重しないことは分かっていたはずで、脇の甘さは否めない。

 足元の国内にも問題はある。

 農民や都市住民らは、強制的な土地収用や役人の横暴、汚職に反発して、連日、暴動や集団抗議を起こしている。その数は年間18万件を超えたとの試算もある。

 貧富の格差拡大に象徴される社会の不平等に対する国民の不満は限界に達している。

 治安維持の国家予算が今年初めて国防費を上回った事実を見ても社会不安の深刻さが分かる。

 党・政府に異議を唱える知識人たちを相次いで拘束し、自宅軟禁するなど、当局の人権軽視は、はなはだしい。

 チベット、ウイグルなどの少数民族と、漢族との対立も続いている。最近はモンゴル族による暴動が発生した。開発一辺倒の少数民族政策の限界を示すものだ。

 中国共産党が1921年に誕生した時の党員はわずか50人余、それが今や8000万人を超える巨大組織に膨れ上がった。

 全人口の6%に過ぎないこのエリートたちは、党組織を通じ、あるいは政府、国有企業の幹部などとして種々の特権を享受する特殊な利益集団と化している。党指導部のスローガン「調和社会の実現」は、むなしく響くばかりだ。

 中国共産党は来年秋、党大会を開催し、引退する胡錦濤総書記に代わって習近平氏を新総書記に選出する予定だ。大国のかじ取りを担う習氏の責任は極めて重い。

2011年7月1日01時22分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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