HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 28 Jun 2011 00:09:53 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:一九六〇年代の集団予防接種の場面を写したモノクロ映像がある…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年6月28日

 一九六〇年代の集団予防接種の場面を写したモノクロ映像がある。一本の注射器を複数の子どもたちに「回し打ち」するシーンが映し出されていた。注射器を交換する手間を医師が惜しんだ。ただ、そのために推定四十五万人がB型肝炎ウイルスに感染して多くの人が苦しみ続けている▼一九四八年の旧予防接種法の施行後、国は早い時期から「使い回し」の危険性を知っていた。それなのに指導を徹底せず、約四十年もの間、放置してきた▼結婚をあきらめた人、ウイルスを抑える薬の服用で子どもをつくることを断念した人、就職差別に泣かされた人…。いったいどれほどの苦境を患者たちは耐えてきたのだろうか▼全国B型肝炎訴訟はきょう、原告側と国が和解の基本合意書に調印、菅直人首相が原告に直接謝罪する。最高裁が国の責任を認めたのは二〇〇六年。あまりにも遅すぎる救済だ▼当初の五年間で一兆円規模の財政支出が見込まれ、臨時の増税も検討されている。戦後の長期間、誰もが感染する可能性のあった被害である。その痛みを共有したいと強く思う▼合意書には第三者機関による真相究明も盛り込まれた。原告は感染拡大の解明に強い期待を抱いている。薬害エイズ究明を進めた菅首相だ。閣僚人事で頭がいっぱいかもしれないが、役人が書いた謝罪文を棒読みして、原告を失望させないでほしい。

 

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