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6月27日付 編集手帳

 恩師から受けた学問上の恩を「学恩」という。ふとそんな言葉を思い出す追悼集『こまが(まわ)り出した』(東大出版会)である◆主人公は3年前に86歳で亡くなった政治学者の斎藤眞さんだ。東大教授などを務め、戦後日本のアメリカ研究における大御所で、「マコちゃん先生」の愛称で親しまれた。薫陶を受けた各界110人余りによる文章からは幅広い人脈がしのばれる◆追悼集の編集代表で、国際ジャーナリストの松尾文夫さんは、斎藤さんが米国を「空間論」で捉えていたと回顧する。大西洋で隔てられ、欧州の権力政治に関わることのなかった米国は、欧州文明と異なる文明を広める「文明宣教の意識」をもつ、と指摘したという◆元留学生の金栄作(キムヨンジャク)・韓国国民大学名誉教授は、斎藤さんから「李鍾贊(イジョンチャン)を知っているか」と尋ねられた。斎藤さんと共に日本軍将校としてニューギニアで戦った戦友だった。これが縁で斎藤さんはその後、韓国で陸軍参謀総長も務めた李さんと再会した◆追悼集のタイトルは終戦直後、学究活動を始めた頃の自作詩の題だ。斎藤さんの人生のこまは今も静かに廻っているかのようだ。

2011年6月27日01時10分  読売新聞)

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