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2011年6月27日(月)付

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電力株主総会―原発リスクを問い直せ

原発事故がもたらした未曽有の事態に、株主たちがどう向き合うか。電力10社の株主総会が28、29日に開かれる。原発を持つ9電力のうち6社で、原発撤退などを求める株主提案が[記事全文]

南シナ海―多国間の枠組み支援を

強大になる一方の隣国とどう折り合ってゆくか。経済の依存は深まり、安全保障面では圧力が強まる――。頭を悩ますのは日本だけではない。ベトナムで反中国デモが繰り返されている。[記事全文]

電力株主総会―原発リスクを問い直せ

 原発事故がもたらした未曽有の事態に、株主たちがどう向き合うか。

 電力10社の株主総会が28、29日に開かれる。原発を持つ9電力のうち6社で、原発撤退などを求める株主提案が出された。

 事故を起こした東京電力では、402人の株主が(1)古い原発から順に停止・廃炉(2)新設・増設は行わない、と定款を改めるよう求めている。定款変更には3分の2以上の賛成が必要で、ハードルは高い。

 ただ、議案の賛否をアドバイスする大手助言機関の一部がこの提案への賛成を促しており、これまで賛成が5%程度だった反原発提案がどれだけ支持を得られるかに注目が集まる。

 もちろん、その結果も大事だが、何より重要なのは、今回の事故が電力会社の経営に投げかけた課題の数々について、株主と経営陣が真摯(しんし)に主張をぶつけ合い、克服の道を探ることだ。

 まず経営側には最大限の情報開示が求められる。「政府による検証を待つ」といった逃げ口上を弄(ろう)してはいけない。

 株主は、企業価値の向上という原点に立って、会社側、株主側それぞれの提案を吟味し、疑問点をただしてほしい。

 事故の賠償問題では、株主責任は問われず、長期にわたって消費者負担で賄う法案が国会に提出されたが、この枠組みでは東電にとって積極的な投資や機動的な事業展開は不可能だ。政府が決めたこととはいえ、半ば「死に体」の会社となることを株主として認めるのか。

 他の電力会社にも共通するのは、原発リスクの再評価だ。いったん事故が起きると会社が吹き飛ぶリスクを抱えても、原発は株主の立場からビジネスとして見合うと考えるのか。「国策民営」というあいまいな形ではなく、原発運営は国へ切り離すという考え方もあろう。

 社会的責任投資という視点もある。原発は事故を起こさなくても、使用済み燃料の処理問題が子々孫々までのしかかる。そのような事業に正当性があるのか、という論点だ。

 さらに、電力会社自ら自然エネルギーに力を入れたり、電力の需給調整をIT技術で最適化するスマートグリッド(次世代送電網)を積極的に導入したりして、電力改革を先導していくほうが先々、得策ではないか。そんな議論も期待したい。

 電力業界は個人株主の比率が高い。生活者としての健全なそろばん勘定に基づいて、電力会社の経営を根本から問い直す。今年の総会で、株主は歴史的な使命を帯びている。

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南シナ海―多国間の枠組み支援を

 強大になる一方の隣国とどう折り合ってゆくか。経済の依存は深まり、安全保障面では圧力が強まる――。頭を悩ますのは日本だけではない。

 ベトナムで反中国デモが繰り返されている。街頭活動を厳しく制限してきた一党独裁下では極めて珍しい光景だ。

 先月下旬、ベトナム沿岸に近い南シナ海で、中国船がベトナムの石油探査船の調査ケーブルを切断したことが発端だ。

 ベトナムは、中国船が自国漁船に発砲するなど侵犯行為を重ねていると主張する。当局はデモを黙認しているのだ。

 フィリピンもスプラトリー(南沙)諸島の自国領に中国が建造物を構築したと抗議した。

 中国はかねて、石油資源などが期待される南シナ海の大部分の領有権を主張してきたが、経済発展とともに軍事費を増大させてきた近年、より強硬な形で他国を牽制(けんせい)するようになった。

 それは尖閣諸島をはじめとする東シナ海と似た構図だ。

 中国との紛争をたびたび経験してきたベトナムは潜水艦を購入するなど軍備を増強し、海上での実弾演習を実施した。

 これに対し中国でも反ベトナム感情が高まっているという。

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は2002年、南シナ海の領有権の平和的解決をうたった「行動宣言」に署名した。ASEANは法的拘束力を持つ「行動規範」への格上げをめざすが、集団交渉を避けたい中国は二国間協議を求める。

 米国も「航行の自由は国益」として、南シナ海情勢に関与する構えだ。クリントン国務長官は、中国の動きを「地域に緊張をもたらす」と批判した。

 米国はフィリピン、ベトナム両政府と協議したうえで、中国との直接協議に臨んだ。

 日本の船舶にとっても重要な海上交通路にあたる。

 ASEAN各国は、尖閣諸島や日本近海での日中のせめぎ合いを注意深く見ている。日本としても南シナ海情勢により大きな関心を寄せる必要がある。

 圧倒的な軍事力を持つ中国には、行動宣言の精神を尊重し他国への挑発を慎むよう求めなければならない。ASEAN各国には、軍拡はいたずらに緊張を高めると指摘したい。

 海洋資源については、領有権を棚上げし、関係国が共同開発を模索するしか道はなかろう。

 日本も加わるASEAN地域フォーラムが来月に、米国とロシアが初参加する東アジアサミットは秋に予定されている。行動規範の策定を後押しし、多国間の枠組みを支援したい。

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