HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 25 Jun 2011 03:07:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:生活保護200万人 再出発へ就労支えよう:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

生活保護200万人 再出発へ就労支えよう

2011年6月25日

 全国の生活保護受給者が二百万人を突破した。受給者には現役世代が増えている。東日本大震災の被災地ではさらに深刻な生活困窮に直面する。スムーズな支給とともに、生活再建支援も必要だ。

 二百二万二千三百三十三人。三月末時点の生活保護受給者数だ。

 二百万人超は戦後の混乱期以来、五十九年ぶりとなる。受給者数は一九九五年度の約八十八万人を底に増加に転じている。

 生活保護は、憲法で保障された生活水準を保つための最後のセーフティーネットだ。当時と人口が違うとはいえ、戦争による困窮の時代と受給者数が並ぶとは深刻な事態といえる。

 受給者には高齢者や障害者などが多いが、今増えているのは失業による現役世代である。二〇〇九年度の現役世代の受給は約十七万世帯で、十年前の三倍を超える。

 被災地はさらに深刻だ。岩手、宮城、福島三県で失業者は十一万人を超えた。被災者の受給は三、四の両月で五百四十九世帯に上った。失業手当が切れる人が出てくる今後は、さらに増える。

 働いて自立していた被災者には、生活保護を受けることに抵抗感もある。それでも受給せざるを得ない困窮に直面している。自治体は迅速な支給を実施すべきだ。財政難から申請を門前払いする自治体が問題となったが、支給に地域差があってはならない。

 福島県南相馬市は、義援金などを受け取った約百六十世帯の生活保護を打ち切った。生活保護制度では、義援金などのうち生活再建費を除いた額は収入とみなされ、減額や打ち切りの対象となる。

 福島県は支給業務を行う町村民に対して、第一次義援金を収入と認定しない措置を決めた。県の判断は当然だろう。他の自治体も柔軟に対応してほしい。

 受給者には就労支援が最も求められている。受給者の就労活動をサポートする就労支援員が福祉事務所に配置されている。就労など実績を上げているが、地域差が大きい。全国に支援網を広げる必要がある。ハローワークと福祉事務所の連携強化も求められている。

 生活費を受給しながら職業訓練を受ける求職者支援制度が十月から本格実施される。新たなセーフティーネットとして期待したい。

 就労は生活の基盤だ。被災地には仕事そのものがない。受給者が早く自立でき、同時に失業者が生活保護に至る前に生活再建ができる雇用対策を続けるべきだ。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo