<辛い>カレー、<新鮮な>ニュース、<どぎつい>ピンク…。英語だと、この括弧の部分は、みなホット(hot)で通る▼辞書をみると、ずいぶんと多義的な言葉なようで、「ホットな気性」なら、菅首相を連想させる短気、かんしゃくのこと。例えば「ホットな埃(ほこり)」といえば、放射能汚染された埃だ。当然、連想は東電へ向かうが、「ホットな空気」とは、でたらめ、でまかせ、である▼だが、ホットの意で、一番なじみ深いのはやはり「熱い」、そして、これから心配な「暑い」だ。と、思っていたら、昨日、埼玉県熊谷市では実に三九・八度まで気温が上昇。二十年前、静岡市で記録された三八・三度を超え、六月の観測史上の最高気温を更新してしまった▼英語の「ホットな街」は、活気のある街を指すが、関東北部を中心に、そのにぎわいぶりとは関係なく、気温三五度以上の猛暑日を記録する「ホットな街」も続出した▼電力不足と節電の夏を前に、折しも、気象庁が「今年も暑くなりそう」との三カ月予報を出したばかり。この時期に、もうこの暑さとは、何とも嫌な辻占(つじうら)である▼暑さ避(よ)けのアイデアも新旧いろいろ、出尽くした感があるけれど、歌人山崎方代の個性的暑気払い法を最後に紹介しておこう。<薤(らっきょう)は箸に挟んでギシギシと暑さ忘れに食うべかりけり>。<辛い>カレーから、連想した次第。