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この夏のボーナスは何に使いたいか。電通総研がアンケートしたら、「国内旅行」が他を断然引き離したそうだ。気分を解き放ちたい。知らない風景に出会いたい。晴れやらぬ時節だけに、ささやかな非日常への憧れがふくらみを増す▼さて、この人たちの使い道は何だろう。国会議員のボーナスが来週支給される。一般は262万円で、閣僚350万円。西岡さんら両院議長には440万円。菅さんは480万円だが、一般より多い額は返納するそうだ。とやかく言いたくはないが、釈然としない人は多かろう▼内閣不信任案の提出、そして否決。与党内の造反と腰砕け。前首相は現首相を「ぺてん師」と呼び、日ごろは何をしているのやら、こんな時だけ顔を見せる騒動好きもいる。総じて政治に信頼がなさすぎる▼先日、小紙の公募「大震災を詠む」の入選歌に〈大津波逃れし人の避難所に百余の靴の整然と並ぶ〉とあった。被災地のモラルは世界から称賛された。しかるに永田町のありさまは、踏みつけ合って破れた泥靴が、乱雑に脱ぎ捨ててあるような図だ▼国民は程度に応じた政府しか持てない、と古来言う。だが日本国民の程度からすれば、もう少しましな政治はもてないものか。プロの劇場で、プロの木戸銭を取って草芝居を演じられてはつらい▼退陣表明もどこへやら、首相は居座る。腹を切った後も延々と長ぜりふを続ける、田舎芝居の殿様のようだ。退陣時期を示して不信の霧を払うのも、給与賞与のうちである。