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天声人語

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2011年6月22日(水)付

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 古い笑話をひとつ。雷を天のたたりだと怖がる祖母に、孫が「心配しなくてもいいよ。雷は電気だから」。すると祖母いわく。「うそを言うでない。村に電気が来るより昔から雷は鳴っていた」▼雷が電気だと証明したのは米国のフランクリンだった。名高い「嵐の中の凧(たこ)揚げ」は、一説では1752年の今日だったとされる。19世紀になるとアーク灯、さらにエジソンの白熱灯が発明された。電気照明の夜明けである▼日本では1882(明治15)年、東京・銀座の街頭にアーク灯が1本ともった。「目もくらむ明るさ」に見物人でごったがえした。当時の雑誌は、擬人化された電灯が意気軒高に「全国中を隈(くま)なく輝かせる」と意気込む戯画を載せている。仰せの通りになったのは私たちの知るところだ▼時は流れて、夏至でもある今日、夜に電気を消してろうそくの明かりで過ごす試みが各地である。数年来、エコ意識の高まる中で輪を広げてきたが、今年は特別の意味があろう。電気はもはや無尽蔵ではない▼思えばほんの少し前だ。テレビのチャンネルをカチャカチャ回していた頃、家族は一つのこたつに足を入れていた。この30年で一世帯あたりの電力消費は5割以上も跳ね上がった。原発は23基から54基に増えている▼増設は国策だが、電気を使うから増えたのか、増えたから使うのか。卵とニワトリの関係のように分かりづらい。山で迷ったときは立ち止まり、引き返すのが原則だ。戻ることで見いだす新たな道もある。

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