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6月21日付 編集手帳

 上から読んでも下から読んでも同じ読み方になる文章を「回文」という。国文学者、鈴木棠三(とうぞう)さんの『ことば遊び』(中公新書)に紹介されている例文を読んでいて、おや、と思った。いまの政治にあてはまるものが少なくない◆〈内閣、退()くかいな〉。いったんは辞意を表明しながら土俵際で粘り腰を見せる菅首相は、具体的な退陣の時期をまだ明らかにしていない。この回文は多くの人が内心でつぶやいている疑問の声を代弁しているだろう◆〈夏まで待つな〉。野党のみならず、与党の幹部からも早期の退陣を望む声が聞こえる◆〈いかにもにがい〉。濁点は大目に見るのが回文のルールという。首相交代にふさわしい時節でないのは誰もが知っている。辞意を口にした以上は、しかし、新体制のもとで与野党が協力して震災対応にあたれるように、潔く身を引くことが為政者の責任だろう。現体制すでに崩壊し、新体制いまだ生まれず――迷走劇の味は、いかにも苦い◆回文ばかりを読んでいたせいか、首相の名前もつい、下から読んでしまった。か・ん・な・お・と氏の胸の内は、さて、〈ドーナンカ?〉

2011年6月21日01時52分  読売新聞)

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