「明日の13時くらいに、霞が関にある東京高等検察庁に出頭することになりました」。きのう収監されたライブドアの堀江貴文元社長は、ツイッターにこう書き込んだ▼なぜかモヒカン刈りで登場した元社長はツイッターを見て見送りに来た若者たちと報道陣の間でもみくちゃにされた。前代未聞の出頭風景である▼三十代前半の若さで、プロ野球の球団やフジテレビの大株主であるニッポン放送の買収を仕掛けた。ストレートな物言いは「拝金主義者」と批判されたが、血筋や家柄などと違って、カネは無色透明で公平な基準であると言いたかったという▼服役中は、読書やダイエットもして「人生をリセットしたい」と語った。一万人の読者がいる有料のメールマガジンは獄中からも発行する意向だが、接見時間など制約が多く容易ではないだろう▼「あまりにも歳(とし)若いときに成功したり功績を上げてもてはやされたりすると、その人は傲慢(ごうまん)さと感覚の狂いから、年配の人間や地道に努力をしている人への畏敬をすっかり忘れてしまうものだ」。哲学者のニーチェは、若すぎる成功の危険性を指摘している(『超訳ニーチェの言葉』)▼既成の価値観の破壊者を自称する堀江元社長はまだ三十八歳。収監後も著書の出版予定が相次ぐほど若い世代の支持は高い。最長二年五カ月の獄中生活は、彼の人生観を変えるだろうか。