HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39529 Content-Type: text/html ETag: "a24a0-164b-b6108240" Expires: Mon, 20 Jun 2011 00:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 20 Jun 2011 00:21:41 GMT Connection: close 震災と転校生 心の安定に教員が目配りを : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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震災と転校生 心の安定に教員が目配りを(6月20日付・読売社説)

 東日本大震災では、多くの子供が住み慣れた土地を離れ、新たな学校に通うことを余儀なくされた。

 転校先の環境になじむためには、教員らの細かな目配りが欠かせない。

 文部科学省のまとめによると、震災後、他校に転出した小中高校生らは2万人を超えた。その9割以上が、岩手、宮城、福島の東北3県の子供たちだ。

 最も多いのが、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難を強いられた福島県の子供である。県内の学校には約5400人、県外へは約1万人が転校した。

 故郷を離れた子供は心細い思いをしている。子供に寄り添う教員を手厚く配置する必要がある。

 福島県は、転出で生徒数が減少するなどした小中学校の教員390人を、県内で転校生を受け入れている学校に再配置した。

 福島県双葉町から住民が集団避難した埼玉県加須市では、双葉町の教員が教壇に立っている。

 放課後は、約970人の双葉町民が暮らす旧県立高校舎の避難所で、子供に勉強を教えたり、相談に乗ったりしているという。

 以前から顔見知りの先生に近くで見守られていることで、子供は精神的な安定を得られよう。

 文科省は岩手県に155人、宮城県に236人の教員を増員する予算措置をとった。沿岸部から生徒が移った内陸部の学校などへの追加配置が始まっている。

 転校生の中には、家族と一緒に避難した子供もいれば、親元を離れて親類宅などに身を寄せている子もいる。

 受け入れ先の学校は、転校生の教室内の様子だけでなく、生活環境にも気を配り、保護者らとの連絡を密にしてほしい。

 震災から3か月が過ぎ、子供の心のケアの重要性も増している。これまでの避難生活で積み重なっているストレスが、不眠や登校拒否など様々な形で表れてくる可能性があるからだ。

 東北3県の学校には5月以降、全国各地から500人を超える臨床心理士が派遣された。

 子供たちのほか、教員に対しても日常的に助言してもらいたい。子供に何らかの症状が疑われる場合には、ただちに専門の医療機関を紹介するような態勢を整えておくことが必要だろう。

 今、子供や保護者は、避難先での生活がいつまで続くのかがわからず、不安を抱えている。安定した暮らしを取り戻せるよう、政府は被災者の雇用創出にも全力を挙げるべきである。

2011年6月20日00時59分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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