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6月18日付 編集手帳

 在原行平の歌、〈たち別れいなばの山の峰に()ふる…〉は〈松とし聞かばいま帰りこむ〉と続く。「松」は「待つ」、待っていると聞けば帰ってくる、と◆昔の人はこの下の句を紙に書き、いなくなった猫が戻ってくるおまじないにしたという。阿部達二さんの随筆集『歳時記くずし』(文芸春秋)に教わった。猫であれ、犬であれ、いなくなれば飼い主が胸を痛めるのは、今も昔も変わらない。ましてや大津波にさらわれたとあれば◆宮城県南三陸町のオス猫「にゃんすけ」が、飼い主と3か月ぶりに再会したことを伝える記事を読んだ◆里山調査の赤外線センサーカメラに「にゃんすけ」が偶然にも写ったのがきっかけで、飼い主が捜し当てたとか。夫と妻の、親と子の、むごい別れをいくつも見てきたあとだけに、たとえ1匹の猫であっても再会の話題には心なごませるものがある◆震災発生から、きょうは100日目にあたる。英語の猫【cat】は動詞に用いるとき、「(いかり)を揚げる」の意味になる。被災地で生まれる小さなほほ笑みも、復興に向けて錨を揚げる助けになるだろう。ときには猫の手も借りて。

2011年6月18日01時45分  読売新聞)

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