HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 18 Jun 2011 03:10:26 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:避難勧奨地点 遅れ取り戻す支援策を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

避難勧奨地点 遅れ取り戻す支援策を

2011年6月18日

 局地的に年間の積算放射線量が二〇ミリシーベルトに達する恐れのある場所がある。国が「特定避難勧奨地点」と呼んで避難を支援する。放射線の影響や支援の内容について、もっと具体的な説明が必要だ。

 「放射線量は、もともと高かったのだから、もっと早く対応を決めてほしかった」。住民からこんな不満の声が出るのは当然だろう。福島第一原発事故から三カ月以上もたって、「特定避難勧奨地点」を指定するという政府の対応は、あまりに遅すぎる。

 原発周辺の警戒区域や計画的避難区域よりも外側の地域で、局地的に高い放射線量を記録する場所があることは前から指摘されていたからだ。「ホットスポット」とも呼ばれていた。

 該当する地点は、これまでの調査では、福島県の伊達市内や南相馬市内に計四カ所あった。原発から三十三キロから五十五キロも離れた場所だ。年二〇ミリシーベルトに達するには、毎時「三・二マイクロシーベルト以上」が目安となるという。これらの地点では、この数値を大幅に上回っていたのだ。

 汚染が「面的に広がっていない」という理由で、今回は「住居単位」で指定される。放射線の影響を受けやすい妊婦や子どものいる世帯などに避難を促すという。

 避難はあくまで住民判断に任せられるが、どんな健康被害の恐れがあるか、きめ細かく説明しないと住民は戸惑うばかりだろう。

 移住した場合は、損害賠償の対象となるとみられるが、どこに避難し、経済的にどのような支援が受けられるか明示しないと、不安はさらに募る。サポート体制を早く構築すべきである。

 福島県内では、放射性物質を体内に取り込んだ内部被ばくの検査を求める声が強まっている。二本松市では、一部住民の内部被ばく測定を独自で行うという。

 文部科学省が公表した土壌の放射性セシウムを示した地図では、同市内で一平方メートルあたり三〇万ベクレルから六〇万ベクレルに達した。チェルノブイリ事故で一時移住の基準となったのは、五五・五万ベクレルだ。心配になる人々も多い。

 外部被ばくはバッジ・タイプの放射線測定機器によって、個人の月単位の被ばく量を測定することができる。各自治体に比べて、国の動きはあまりに鈍い。子どもらにこのバッジを着けさせることなどもできるはずだ。住民側に立った対策がないと、放射線への不安は消えない。

 

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