HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 16 Jun 2011 20:07:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:『名所江戸百景』(歌川広重作)の「びくにばし雪中」の絵に「…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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2011年6月16日

 『名所江戸百景』(歌川広重作)の「びくにばし雪中」の絵に「山くじら」という看板がある。猪(いのしし)の肉を食べさせる「ももんじ屋」だ。猪や鹿などの獣類とその肉は「ももんじ」と呼んでいた▼仏教の影響で、獣肉を口にすることは忌避され、江戸時代にもその風潮は残っていたが、実際は獣肉を食べていた。おおっぴらに食べることははばかられるので、病人が滋養を付ける「薬食い」と称していた(北嶋廣敏著『大江戸おもしろ商売』)▼日本人が肉食に目覚めたのは明治に入ってからだ。福沢諭吉は「我(わが)国民肉食を欠(かい)て不養生を為(な)し、其(その)生力を落(おと)す者少なからず。即(すなわ)ち一国の損亡(そんぼう)なり」と肉食のすすめを説いた▼戦後、牛肉の輸入が始まると、牛肉は高級品ではなくなった。食べ方も多様化し生肉を食べる人も増えた。二年前の東京都の調査では、三カ月以内に生肉を食べた人は四割。二十代では五割を超え、食文化として定着しているが、用心しないといけない▼焼き肉チェーンの集団食中毒事件を受け、東京都が約七千の飲食店や食肉処理業者などを調査した結果、国の衛生基準を満たさない店が八割近くあり、調理器具の熱湯消毒をしていない店も半分あった▼少なくとも、幼児や体力の弱った人などは生肉は避けるほうが賢明だろう。食品が傷みやすい季節でもある。生肉を食べても「薬食い」にはならない。

 

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