HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 16 Jun 2011 01:10:35 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:作業員被ばく 健康管理が甘すぎる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

作業員被ばく 健康管理が甘すぎる

2011年6月16日

 福島第一原発で放射線の被ばく量が、上限値である二五〇ミリシーベルトを超えた作業員が既に八人も出た。数はさらに膨らむ恐れが濃厚だ。復旧作業にも影響しかねない。東京電力の健康管理は甘すぎる。

 これでは作業員の不安は高まるばかりだろう。先月末に上限値を超えた疑いがあるとされた二人の被ばく量は、六〇〇ミリシーベルト以上もの高い数値だった。新たに判明した六人の場合は、二六五ミリシーベルトから四九八ミリシーベルトだった。

 二五〇ミリシーベルトという基準は、今回の原発事故に限り特例的に厚生労働省が定めたものだ。通常時の被ばく限度である一〇〇ミリシーベルトを超えた作業員は、八人以外に九十四人にも達していた。東電は深刻な事態だと受け止めるべきである。

 これらの数字も原発事故発生から三月末までの人が対象で、測定などが終わった約二千四百人に限られている。五月末までに同原発で働いていたのは約八千四百人であり、被ばく上限を超える作業員はまだまだ増えそうだ。

 既に現場を離れてしまった下請けの作業員は大丈夫なのだろうか。放射性物質が体内に取り込まれた内部被ばくを調べる「ホールボディーカウンター」という機器の台数が足りないとはいえ、検査も公表も遅すぎる。検査体制を整え、早く全員の被ばくの実態を明らかにせねばならない。

 マスクを着けずに作業したため、放射性物質を吸い込んだケースが多いという。防護体制がずさんだったわけだ。六〇〇ミリシーベルトもの被ばく者が出たことで、既に労働安全衛生法違反で是正勧告を受けている。東電は健康管理への意識が低いのではないか。

 一〇〇ミリシーベルトを超えると、がんなどの発症率が高まるとされる。内部被ばくが一〇〇ミリシーベルトを超えた人を作業から外すよう、厚労相が指示したのは当然だ。この基準でも高すぎるという指摘もある。被ばく者の健康を長期的に見守る必要がある。

 原発事故はなかなか収束しない。人海戦術に頼らざるを得ない半面、基準値を超えた作業員はもはや従事できず、新たな人手が必要になる。

 被ばく防護が不徹底なら、働こうという人も出てこないはずだ。作業員の安全を図る対策は急務といえる。

 蒸し暑い季節を迎えると、防護服での作業は過酷になり、熱中症などの危険も出てくる。原発作業員健康対策室を設けた厚労省は東電への監督を強めてほしい。

 

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