HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39442 Content-Type: text/html ETag: "121a94-1674-f96c2b80" Expires: Sat, 11 Jun 2011 02:21:07 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 11 Jun 2011 02:21:07 GMT Connection: close 学校の防災機能 子供と地域住民の命守る砦に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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学校の防災機能 子供と地域住民の命守る砦に(6月11日付・読売社説)

 東日本大震災では、多くの学校が避難所になった。地震発生から3か月を迎えた今も、100を超す学校に被災者が身を寄せている。

 学校は、いざという時に子供たちだけでなく、地域住民の命を守る「(とりで)」となる。将来、想定される東海地震など巨大地震の発生に備えて、全国の学校の耐震性を高め、防災機能の強化を急がなければならない。

 今回の震災では、6000を超す公立の学校で建物に被害が出たものの、甚大な損害は津波に起因するケースが多かった。地震による校舎の倒壊で子供や教職員が死亡した例は確認されていない。

 阪神大震災以降、各自治体は1981年以前の旧耐震基準で建てられた古い校舎や体育館について、建て替えや補強工事などの耐震化を進めてきた。一定の効果があったと言えよう。

 だが、今年度第1次補正予算に盛り込まれた耐震化事業を実施しても、全国の公立小中学校の建物の14%にあたる1万7400棟はなお補強が手つかずのままだ。

 文部科学省は先月、公立の小中学校の耐震化を完了する目標時期を2015年度に設定した。できる限り前倒しして、耐震化率100%を達成してもらいたい。

 今回、学校の避難所としての弱点も浮かび上がった。

 被災者たちは停電による暗闇の中で不安な夜を過ごすことを余儀なくされた。防寒具がなく、教室のカーテンを体に巻きつけて暖をとった人もいる。固定電話がつながらず、外部との連絡が途絶した学校も多い。

 自家発電装置や貯水槽の設置、毛布や非常用食料の備蓄、さらに衛星携帯電話などの配備を検討する必要があるだろう。

 体育館の天井が崩落し、使用できなくなったところもある。各学校で、天井や壁、窓ガラスといった非構造部材についても、安全点検を進めてほしい。

 今後の課題は、地域の防災拠点としての学校作りである。

 例えば、沿岸部では、津波襲来時に住民が逃げ込めるよう、校舎を鉄筋コンクリート造りの中高層ビルにすることが有効だろう。

 避難する高齢者や障害者も利用しやすいよう、設備のバリアフリー化を進めたり、平時から高齢者が暮らせる福祉施設を併設したりする方法もある。

 教育、福祉、防災の各分野を所管する府省が従来の縦割りの発想を捨て、協力して知恵を出し合うことが大切である。

2011年6月11日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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