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6月11日付 編集手帳

 深い憂愁の作風で知られた明治生まれの詩人、高橋元吉はうたっている。〈みづのたたへのふかければ/おもてにさわぐなみもなし/ひともなげきのふかければ/いよよおもてぞしづかなる〉◆深い水をたたえた湖面には波が立ち騒ぐこともない。おなじように、あまりに深い悲嘆の底に沈んだ人の表情も見た目にはいたって静かなものである、と。東日本大震災を経験した今にして、詩のこころに思いあたる◆大津波が押し寄せ、家族と離ればなれになった瞬間を静かな面持ちで語る被災者に、テレビ画面を通して幾度となく出会った◆震災から、きょうで3か月になる。本紙東京版で『亡くなられた方々』の欄を毎日ご覧になっている方は新たに死亡が確認された人たちの名前を見ながら、いまだに“あの震災”とはならず、真っただ中の“この震災”であることを日々実感しておられよう。いまもなお、8000を超す数の行方不明者がいる◆それにつけても――である。引き降ろす側に策と知恵なく、居座る人に誇りと大局観なく、政局の波立ちは長引くばかりである。永田町がたたえる濁り水の浅いことよ。

2011年6月11日01時21分  読売新聞)

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