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天声人語

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2011年6月11日(土)付

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 年替わりの首相を「まるで生徒会長」と嘆いたところ、生徒会の顧問を長く務めたという元高校教師(67)から一筆いただいた。「生徒会長は大きな改革を左右する学校運営の要、軽い存在ではない」とのご指摘である▼任期末には、膨大な議事録が反省や提言を添えて引き継がれる。1年交代ゆえの全力、昨今の首相とは責任感が違うというわけだ。福島県で民生委員をするこの方は、「国難と言いつつ相手のあら探しに熱心な政治に、被災者はあきらめ顔です」と厳しい▼なお8千人の行方が知れない。粉々にされた生活の再建は難渋し、原発事故にも確たる展望はない。フル回転すべき政治は迷走の末、あろうことか端境期らしい。死者に報わず、被災者を泣かせる震災3カ月の惨状だ▼阪神大震災の同時期に不明は2人、神戸の街はすでに復興の途にあった。被災の広さ深さが異なるとはいえ、今回はなんとも遅い。東京の不手際と不作為を思う▼長崎できょう、核廃絶の署名を国連に届ける「高校生平和大使」の結団式がある。津波に襲われた岩手県立高田高校からも2人が加わる。生徒会長の菊地将大さんは「支援への感謝を世界に伝えたい」と意気込むが、ご両親は不明のままだ▼永田町が首相の辞め時でもめている間にも、できること、すべきことを黙々とこなす人々がいる。店や工場の再開、久々の出漁といった朗報も伝わる。一つ、また一つ、闇夜の灯は心に染みるけれど、夜明けを引き寄せるのは政治の責任である。

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