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届かない義援金 応援要員投入し迅速な支給を(6月8日付・読売社説)

 東日本大震災の発生から、まもなく3か月になるというのに、被災者の手元には、集まった義援金の15%程度しか届いていないという。

 あまりに遅い。政府と被災自治体は、速やかな支給に全力をあげるべきだ。

 厚生労働省が事務局を務める義援金配分割合決定委員会が、義援金の支給状況などをまとめた。

 これまで、日本赤十字社や中央共同募金会などに寄せられた義援金は約2500億円。うち約800億円が第1次分として、被災した15都道県に送金された。

 残りも第2次分として被災各県に配分される。その基準は、全壊世帯に半壊の2倍支給する、といったものだ。具体的な金額は自治体の裁量に委ねられる。

 問題は義援金が被災者に届かないことである。行政機能が損なわれ、支給事務まで手が回らない自治体が多いことが要因だ。全壊・半壊などを認定し、罹災(りさい)証明を発行する業務も滞っている。

 「読売光と愛の事業団」など、様々な団体を通じて、被災自治体に直接寄託された義援金も事情は変わらない。

 国は事態を改善できる規模で応援要員を送り込むべきだ。細川厚労相はようやく、支給が遅れている自治体の事情を調べて、必要なら人員を派遣する方針を示した。迅速に取り組んでもらいたい。

 もっと柔軟に被災を認定することも必要だ。

 民間の地震保険の場合、損害保険会社は、衛星写真をもとに一定地域内の家屋はすべて全壊とするなど認定を簡略化している。業界全体でこれまでに約50万件、9000億円以上を支払った。

 義援金の分配は、公平性を重んじるのが当然としても、被災者が当座の生活資金などを必要とする時に届かなければ意味がない。善意を寄せた日本中、世界中の人を失望させていないだろうか。

 地域によっては、全壊か半壊かの認定はおいて暫定的に半壊分を一律支給するなど、実情に応じて早く届ける工夫をしてほしい。

 家族が死亡した人に公費から支給される災害弔慰金も、法律の不備が指摘されている。

 災害弔慰金法が定める「遺族」の範囲に兄弟姉妹が含まれていない。このため、兄弟2人暮らしをしていて、兄が亡くなった場合、弟に弔慰金は出ない。

 今回の震災ではこうした事例が少なくないとして、弁護士グループが先週、法改正を政府に要請した。検討すべきではないか。

2011年6月8日01時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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