<サミットに二回も出たと胸を張り>。本紙川柳欄の秀逸な一句から。菅直人首相は就任からあすで丸一年。気が付くと鳩山由紀夫前首相と麻生太郎元首相の在任期間を超え、安倍晋三、福田康夫両元首相超えも射程に入った▼いつまで命脈を保てるのかが焦点だが、「ポスト菅」をめぐって、民主党と自民党の間で期限付きの大連立が既定路線のように浮上しているのは首をかしげてしまう▼民、自両党の幹部が東日本大震災の復興対策だけでなく、社会保障改革も進めたいと、口を合わせていることも気になる。大連立の行く先は増税路線まっしぐら、にならないか▼<他党責め自党の過去は防護服>。川柳で皮肉られているように、地震列島に五十基超の原発を設置してきたのは自民党だ。福島第一原発の事故を招いたエネルギー政策そのものが問われているのに、過去に向き合おうとする姿勢はかけらもない▼未曽有の事故の後、原発に依存してきたエネルギー政策を冷静に見直そうという考え方が、国民の間に確実に広がっている。大連立によって責任の所在が曖昧になり、こうした機運が軽んじられることが心配だ▼将来のエネルギー政策は中立・公正なルールの下、国民投票に委ねてみたい。原発や自然エネルギーのメリット、デメリットを徹底的に議論し、国民が判断することが民主主義を鍛えることになる。