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2011年6月6日(月)付

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復興構想会議―政治は希望を砕くな

菅直人首相が発足させた復興構想会議が第1次提言を6月末にまとめる。政治状況の流動化に右往左往することなく、今後も真摯(しんし)な議論を続けて、被災地の希望を描いてほしい。[記事全文]

IMFトップ―改革ビジョンで競え

欧州が「指定席」を維持するのか、新興国がここでも影響力を広げるのか。世界金融の番人である国際通貨基金(IMF)のトップである専務理事ポストをめぐって、駆け引きが繰り広げ[記事全文]

復興構想会議―政治は希望を砕くな

 菅直人首相が発足させた復興構想会議が第1次提言を6月末にまとめる。政治状況の流動化に右往左往することなく、今後も真摯(しんし)な議論を続けて、被災地の希望を描いてほしい。

 これまで会議では様々な意見が出されてきた。

 地震や津波の被害を減らすため高台に居住地を配置、あるいは海沿いに道路など交通インフラを置き、堤防代わりにしたらどうかという提案があった。

 工場の建て替えなどが円滑に出来るよう、地域の金融機関を支援する枠組みを求める意見や、特区を設けて税を減免し、規制緩和を強力に進めるべきだとの主張もある。

 「地震国日本にふさわしい発電様式を、福島において研究、発展させるべきである」という玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)さんや、東北を太陽光発電のベルト地帯とする内館牧子(うちだて・まきこ)さんの構想も魅力的だ。

 アイデアが目白押しだ。ただ、提案相互の関係や具体的な進め方はまだはっきりしない。

 構想会議に求められる役割とはなんだろうか。何よりも復興再生の方向性、基本となる道筋を定めることではなかろうか。

 明確なメッセージを国民、とりわけ被災地の人々に示し、そうすることで力を集中させる。計画の優先順位を決め、取捨選択をしなくてはならない。

 優先度を決めるには、地域で必要とされる緊急性、事業がより多くの人や企業の救済、便益につながる汎用(はんよう)性、時間はかかるが継続的に進めることで減災や活性化につながる将来性、それらを総合的に勘案して判断することになるだろう。

 といって、財政的な裏打ちがない限り、意欲的な提案も絵に描いた餅にすぎなくなる。

 ここからは政治の責任だ。菅首相は、提言を受けて第2次補正予算案を編成する考えだった。首相の退陣表明をめぐって混乱が続いているが、大震災からの復興が政治の最優先課題であることは論をまたない。

 復興事業の規模は大きい。一方で、国の財政は切迫しており、償還財源を決めないままの国債発行では市場に不信任を突きつけられかねない。将来世代への負担つけ回しにもなる。

 構想会議が公表した「中間整理」でも、復興税導入への慎重論に触れる一方、多くの委員が増税による財源確保の必要性を指摘している。

 復興事業を早く軌道に乗せるとともに、国民には増税への理解を求める。誰が政権を担うにせよ、その覚悟と実行力がなければ被災者の希望は砕け散ってしまう。

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IMFトップ―改革ビジョンで競え

 欧州が「指定席」を維持するのか、新興国がここでも影響力を広げるのか。

 世界金融の番人である国際通貨基金(IMF)のトップである専務理事ポストをめぐって、駆け引きが繰り広げられている。どう選ぶかは、多極化する世界にふさわしい新IMFの構築に向けた試金石となる。

 今回の選考は、欧州危機で陣頭指揮を執っていたストロスカーン前専務理事がニューヨークで性的暴行の疑いで逮捕され、辞任したことに伴う。母国フランスの大統領選に出るため、任期半ばの退任が予想されていたが、事件で早まった。

 折しもIMFは大きな転換期にある。先進国主導の国際通貨秩序は、リーマン・ショックとユーロ危機で行き詰まった。世界経済の安定を期すには、経済規模や貿易量で存在感を増す新興国の協力が不可欠だ。昨年のG20でも、IMFへの出資比率や投票権の配分などで新興国の地位を向上させていくことが合意された。

 創設以来65年、10代にわたって欧州が独占してきた専務理事ポストも開放すべきだという声が高まっている。事件後、主要新興5カ国は欧州からの選出に反対する声明を出し、中国、メキシコ、インドなどからの候補者が取りざたされている。

 これに対し、欧州はフランスのラガルド財務相で一本化し、米国の支持も取り付けようとしている。選任されれば初の女性トップとなる。

 欧州はギリシャの財政危機が再燃するなどユーロ問題の前途が予断を許さない。域内調整に手間取りがちな欧州はIMFトップを身内で囲いたいだろう。

 だが、欧州がIMFを自分の財布のように使える時代ではない。新興国にはただでさえ、アジア危機時に比べIMFが欧州に甘いという不満が根強い。

 半面、新興国には課題も多い。自国通貨の国際的地位がなお低い。国内に厳しい金融規制を残したり、為替管理を続けたり、海外からの資本流入にさまざまな規制をかけたり、という国も目立つ。

 トップ人事に名乗りを上げる以上、新興国は自国通貨の地位向上や金融改革にも不断の努力を払う責任がある。

 後任は今月中に選ばれる見込みだ。ラガルド氏が本命とみられており、新興国は候補を一本化し、IMF改革のビジョンなどについて競い合ってほしい。選出方法も、話し合い決着の慣行に縛られず、開かれた場で候補者の所信をただし、投票によって決めるべきだ。

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