HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 05 Jun 2011 02:08:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:引き際に関して、ドイツ文学者の池内紀さんがエッセーでこう書…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年6月5日

 引き際に関して、ドイツ文学者の池内紀さんがエッセーでこう書いていた。<引き際を誤るもとは二つあるような気がする。一つは未練、もう一つはうぬぼれ。未練のために決断しかね、うぬぼれのために最悪の引き際を演じてしまう>▼この指摘が見事に合致するここ数日の菅直人首相の退陣騒動だった。鳩山由紀夫前首相から「ペテン師まがい」とまで罵(ののし)られ、身内の閣僚からも六月退陣論が相次いでは万事休すか▼菅首相が、遅くても今年八月には退陣する意向を固めたらしい。示唆していた「原発の冷温停止をめどに」という来年一月の退陣は断念することになりそうだ▼「(首相は)居座るつもりはない」と今になって周辺は言うが、国会などでの首相の答弁は誰がどう見ても「居座り」だった。国民からも愛想を尽かされている事実を、ようやく受け入れる気になったのだろうか▼未練やうぬぼれは、人間だったら誰だって持っている感情である。すべて否定する必要もない。時に人を大きく奮起させる材料にもなる。しかし、首相の場合、少々度が過ぎていたようだ▼「菅退陣」とパソコンで入力しようとしたら「歓待人」と出てきた。妙な符合に苦笑いしてしまった。東日本大震災の発生から間もなく三カ月になるが、復興は遅々として進んでいない。被災地を無視した茶番劇は、もう終わらせてもらいたい。

 

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