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IAEA報告 原発の安全向上に指摘生かせ(6月4日付・読売社説)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて来日した国際原子力機関(IAEA)調査団が、原因に関する報告書概要版を政府に提出した。

 調査団は、福島第一原発だけでなく、東日本大震災で被災した複数の原発で、「津波の想定が過小評価されていた」と指摘した。

 さらに、原発の安全対策では最大級の自然災害を想定する必要があるとした。その意味は重い。

 日本列島は自然災害が多い。政府は、調査団の指摘を原発の安全向上策に生かさねばならない。

 調査団は、5月後半から、福島第一原発など、被災した複数の原発を視察し、現場の技術者たちに聞き取り調査した。

 その結果、原発の事故で最悪の事態とされる「炉心溶融(メルトダウン)」の防止策と、炉心溶融が起きた後の対応に、多くの問題点があったとしている。

 福島第一原発では、原子炉冷却用の非常電源が津波で壊れ、代替電源を確保できなかった。

 炉心溶融を防ぐため、原子炉から蒸気を放出(ベント)して、圧力を下げる手順が定められていたが、手間取った。水素爆発が起き原子炉建屋が吹き飛ぶ事態は、全く想定されていなかった。

 調査団は、こうした危機的な事態に備えた対策を強化するよう求めている。当然の要請だろう。

 日本の原子力関係者はこれまで、炉心溶融は起き得ない、と説明してきた。危険性を語れば原発への不安が高まる、と「タブー」扱いしてきた。政府が実施する原発防災訓練も、炉心溶融が起きることまで想定していなかった。

 こうしたタブーが、最悪事態への備えを表立って議論し対策強化につなげることを妨げてきた。危険性を直視した議論が必要だ。

 IAEA調査団は、日本の規制当局にも、「独立性と役割の明確化が必要」と注文をつけた。安全規制を担う原子力安全・保安院が原発を推進する経済産業省の下にあることを指摘したものだ。

 海外の安全規制機関は独立が原則で、国内でも推進側と規制側の同居に疑義はあった。政府は組織改革の論議を急ぐ必要がある。

 今月20日からウィーンで開かれるIAEA閣僚級会合には正式な報告書が提出され、原発の国際安全基準作りが議題となる。

 各地で、安全不信から、定期点検後に再稼働できない原発が相次いでいる。政府が国際安全基準作りに積極的に関与し、国内の原発の安全向上策にも適切に取り込むことが、再稼働につながる。

2011年6月4日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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