HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 02 Jun 2011 20:10:43 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:IAEA報告 原子力村の体質を批判:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

IAEA報告 原子力村の体質を批判

2011年6月2日

 福島第一原発事故を受け来日した国際原子力機関(IAEA)調査団が政府に報告書の素案を提出し、原子力担当部署の在り方に問題があると指摘した。国民が抱く不信を、国際機関も認めた。

 報告書は今月下旬、ウィーンで開かれるIAEA閣僚級会合で提示される。国際社会は今回の事故を教訓として、各国の既存、さらには建設予定の原発の安全性を高める議論を本格化する。

 素案では日本は「津波の危険性を過小評価していた」とし、あらゆる自然災害の危険評価を最新の基準に改めるべきだと提言した。

 注目されるのは、原子力安全を担当する部署について「規制当局は独立性が保たれ、役割をはっきりさせるべきだ」と記した点だ。日本の原子力行政にみられる責任所在のあいまいさを指摘した。

 原子力安全・保安院が経済産業省の外局であることからも明らかなように、原子力発電を推進する組織と、安全を監視する組織がはっきり独立していない。これに東京電力など電力各社と原発推進派の政治家、学者らが加わって専門家集団を形成し“原子力村”とも呼ばれる。

 福島第一原発事故の対応、原因究明の遅れについては、所轄官庁も含む専門家集団の秘密主義、なれ合い体質によるところが大きいというのが、国内だけでなく海外でも支配的な見方だ。

 素案は組織名こそ言及しなかったものの、日本の原発規制当局には十分な独立性がないと指摘した。IAEAの文書としては厳しく、日本に対して原発建設と安全管理の役割を担う組織をはっきり区分し、責任逃れをしないよう求めたものだ。原子力村の体質を批判したともいえる。日本側が十分に対応しないと、各国の不信はぬぐえないだろう。

 ただ日本の面目を傷つけまいという配慮もみられた。日本政府の対応を「避難地域の対応を含めて組織化されている」といい、福島第一では「困難な現場で専門的な知識を持った作業員が献身的に対応した」と評価した。事故の早期収束を願う国際社会の期待をこめたともいえるが、現実はこれほど楽観的ではない。

 IAEAの目標は「原子力の平和利用の促進」であり、ドイツなど欧州でみられる「脱原発」の動きとは相いれない。日本政府が掲げるエネルギー政策の見直しを後押しする機関ではないと、付言しておきたい。

 

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