HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38875 Content-Type: text/html ETag: "9a433-1671-d7b0ecc0" Expires: Wed, 01 Jun 2011 22:22:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 01 Jun 2011 22:22:12 GMT Connection: close ガザ封鎖解除 独自外交始めた新生エジプト : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


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ガザ封鎖解除 独自外交始めた新生エジプト(6月2日付・読売社説)

 30年に及ぶムバラク独裁に終止符を打ったエジプトが、民主化への模索を続ける中、外交路線のかじを切り始めた。

 パレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの封鎖に風穴を開けたのはその好例である。

 エジプト政府は5月28日、ガザとの検問所を開放し、パレスチナ人の出入国制限を大幅に緩和した。女性と子供、それに41歳以上の男性の通行の自由を認めた。

 窮屈な土地に閉じこめられていた人々の自由を回復したのは、人道的措置と言える。

 エジプト政府は、それに先だって、対立してきたパレスチナの2大組織も和解させた。

 イスラエルとの交渉で国家樹立を目指す穏健派のファタハと、イスラエルの存在を認めないイスラム原理主義組織ハマスを仲介し、パレスチナ統一政府樹立で合意させたのである。

 ハマスは4年前、武力でファタハをガザから追放し、単独統治を始めた。過激派はイスラエル領へのロケット弾攻撃も試みた。イスラエルがガザを封鎖し、人や物資の流れを遮断したのは、ハマスを弱体化させる狙いがあった。

 1979年にアラブ諸国で初めて、イスラエルと平和条約を結んだエジプトは、アラブの同胞から「イスラエル寄り」と見なされる外交路線をとってきた。

 それだけに、ハマスを敵視するイスラエルには、エジプトの変化は納得できまい。米国もハマスの政権参加に懸念を示している。

 エジプトが独自の外交路線に傾いた背景には、エジプトとイスラエルの“冷たい和平”がある。

 エジプト国民の多くは、イスラエルがパレスチナ人を抑圧しているとして平和条約を歓迎せず、文化人の往来やイスラエル映画の上映すら、ままならなかった。

 くすぶっていた反イスラエル感情が政変後に噴き出し、政策転換を後押ししたのだろう。

 イスラエルとパレスチナの関係を改善するには、何よりエジプト自身の安定が重要となる。

 エジプトは、2月のムバラク退陣後、軍最高評議会のもと暫定政府が統治している。9月の人民議会(国会)選、11月の大統領選を経て正式に新政権が発足する。

 日本を含む主要8か国(G8)は、エジプトやチュニジアの民主化を支えるため、政変後の混乱で荒廃した経済の立て直しに、巨額の財政支援を表明した。

 アラブの盟主エジプトには、中東安定の要であるイスラエルとの和平を堅持する責任がある。

2011年6月2日01時16分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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